MakeとChatGPTを並べて「どっちがいい?」と検索する人は、たいてい2つを同じ土俵で考えています。これが最初のつまずきです。
Makeとは、アプリ同士をノーコードでつなぐ業務自動化(iPaaS)ツールです。ChatGPTとは、文章生成・要約・翻訳などをこなす対話型の生成AIです。
Makeは旧Integromat、ノーコードの業務自動化(iPaaS)ツール。GmailとSlackとスプレッドシートを線でつなぎ、人手を介さずデータを流します。ChatGPTは生成AI。質問に答え、文章を書き、コードを直します。
役割が違います。それでも比較記事が量産されるのは、両者とも「人間の作業を減らす」という同じ約束をするからです。本記事はその約束の中身を、性能・コスト・連携で分解します。
MakeとChatGPTは何が根本的に違うのか?
一言でいえば、Makeは「動かす」ツール、ChatGPTは「考える」ツールです。
Makeはトリガー(きっかけ)とアクション(処理)を視覚的に組み立てます。「フォームに回答が来たら→スプレッドシートに追記→担当者にSlack通知」のような流れを、コードなしで作れます。一度組めば24時間勝手に回ります。
ChatGPTは対話型のAI。指示を出すたびに応答が返る。文章を生成し、要約し、翻訳し、アイデアを出します。だが基本は人が話しかけて初めて動きます。
この「自律的に回る配管」か「呼ばれて答える頭脳」かが、両者を分ける最大の軸です。
自動化ツールとしてのMakeの実力
Makeは数千のアプリと標準連携を持ちます。GmailやSlack、Notion、Stripe、各種CRMなど、APIを意識せずにつなげるのが強みです。
無料プランでも月1,000オペレーション(処理単位)が使えます。ここが地味に効きます。小規模な個人事業なら無料枠で回り切ることも珍しくありません。
複雑な分岐やエラー処理、繰り返し処理もGUIで組めます。プログラミング不要で、ここまでの柔軟性を持つツールは限られます。一択とは言わないが、ノーコード自動化では圧倒的な選択肢です。
| Makeの特徴 | 内容 |
|---|---|
| カテゴリ | iPaaS / ノーコード自動化 |
| 課金単位 | オペレーション(処理回数)ベース |
| 無料枠 | 月1,000オペレーション |
| 主な用途 | アプリ間データ連携、定型業務の自動化 |
| 学習コスト | 中(GUIだが概念理解が必要) |
上表のとおり、Makeの肝は「処理回数で課金される」点。使うほど積み上がる従量構造です。これがコスト比較で後述する重要ポイントになります。
ChatGPTは何ができて、料金はいくらか?
ChatGPTは生成AIの代表格。文章生成、要約、翻訳、コード補助、データ整理など、言語が絡む知的作業を幅広くこなします。
無料版でも基本モデルは使えるが、回数制限があります。ChatGPT Plusは月額20ドルで、より高度な推論モデルや拡張されたコンテキスト、メモリ機能が解放されます。
ChatGPTのモデルは2026年時点でGPT-5系が中心。無料・有料で使えるモデルの幅が変わる構造です。上位プランほど高性能モデルと回数上限が増えます。
下表はプラン構造の概観です。
| プラン | 月額 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 無料 | 0ドル | お試し・軽い利用 |
| Plus | 20ドル | 個人の本格利用 |
| Business | 上位 | チーム・法人 |
| Enterprise | 商談ベース | 大企業・セキュリティ要件高 |
料金は変動が激しいです。OpenAIは料金体系を定期的に見直しており、「使い放題プラン」の廃止が示唆されたこともあります。比較時は必ず公式の最新料金を確認してほしいです。

性能はどう比較すべきか?測る軸が違う
「性能」という言葉でMakeとChatGPTを比べると話が噛み合いません。測る物差しが別だからです。
Makeの性能は「処理の安定性」と「連携できるアプリ数」で測ります。何件のデータを取りこぼさず流せるか、エラー時に正しくリトライするか。スピードより信頼性が価値になります。
ChatGPTの性能は「出力の質」と「推論の深さ」で測ります。文章の自然さ、指示の理解度、複雑な問題への対応力。ここはモデルの世代がそのまま効きます。
| 比較軸 | Make | ChatGPT |
|---|---|---|
| 性能の定義 | 処理の安定性・連携数 | 出力品質・推論力 |
| ボトルネック | オペレーション上限 | モデルの回数制限 |
| 得意 | 反復・定型処理 | 創造・判断・言語処理 |
| 苦手 | 文脈ある文章生成 | 自律的な定期実行 |
この表が示すのは、両者の苦手領域がきれいに裏返しの関係にあること。Makeは文章を書けず、ChatGPTは勝手に回りません。だからこそ後述する「組み合わせ」が効いてきます。
コストの構造が決定的に違う
ここが比較で一番重要な論点です。MakeとChatGPTはコストの積み上がり方がまったく違います。
ChatGPTのPlusは月額固定。20ドル払えば、回数制限の範囲で何度使ってもコストは増えません。予算が読めます。
Makeは従量。オペレーション数に応じて課金され、自動化を増やすほどコストが膨らみます。逆に言えば、使わない月は安いです。
| 観点 | Make | ChatGPT Plus |
|---|---|---|
| 課金方式 | 従量(オペレーション) | 月額固定 |
| 予算の読みやすさ | やや読みにくい | 読みやすい |
| スケール時 | 処理増で増額 | 上位プランへ移行 |
| 小規模での強み | 無料枠で足りることも | 20ドルで完結 |
副業や個人事業の視点だと、最初の判断はシンプルです。「書く・考える」が中心ならChatGPT Plus 20ドル一択。「アプリ連携を自動で回したい」ならMakeの無料枠から始めます。両方必要になったら、合算しても月数千円規模で収まることが多いです。
どちらを先に課金すべきか?
迷ったらChatGPTを先に課金します。理由は投資対効果の即効性です。
ChatGPTは契約した瞬間から、文章作成・調査・整理の生産性が上がります。学習コストがほぼゼロで、話しかければ動きます。
Makeは真価を発揮するまでに設計が要ります。何をどう自動化するかを決め、シナリオを組み、テストします。効果は大きいが、立ち上げに時間がかかります。
だから順番としては「ChatGPTで日々の頭脳労働を軽くする→定型作業が見えてきたらMakeで自動化する」が王道です。
MakeとChatGPTを組み合わせると何が起きる?
ここが本記事の核心。Makeは標準でChatGPT(OpenAI API)連携を持ちます。両者をつなぐと「自律的に考える配管」が完成します。
例えば「問い合わせメールが来たら→ChatGPTが内容を分類・要約→Makeが担当部署のSlackに振り分け」。人が介在せず、判断つきの自動化が回ります。
Makeの「勝手に回る」とChatGPTの「考える」が合わさると、それぞれ単体ではできなかったことが実現します。比較して片方を選ぶより、両方を配線する発想のほうが事業ではリターンが大きいです。
組み合わせの典型パターンを挙げます。
- メール仕分け:受信トリガー→AI分類→自動振り分け
- 議事録処理:録音アップ→文字起こし→AI要約→共有
- SNS下書き:ネタ投入→AI生成→承認待ちに格納
- データ整形:CSV取込→AIで正規化→DB追記
これらはMake単体でもChatGPT単体でも完結しません。橋渡しの設計があって初めて成立する仕事です。
ノーコードか、API直叩きか
ChatGPTを業務に組むには2つの道があります。Makeのようなノーコードでつなぐか、OpenAI APIを直接コードで叩くか。
ノーコードは速いです。エンジニアでなくても数時間で動く自動化が作れます。反面、細かい制御や大量処理ではAPI直叩きに分があります。
判断基準はシンプルです。社内に開発リソースがなく、すぐ動かしたいならMake。処理量が膨大でコスト最適化や独自ロジックが要るなら、API直接実装を検討します。
この選択はノーコード開発の領域でも同じ構図が見られます。ツールの抽象度をどこに置くかは、BubbleとChatGPTの比較でも論点になっています。柔軟性と手軽さのトレードオフは、どの領域でも繰り返し現れます。
検索・調査用途ならどう考えるか
「調べる」用途だと、ChatGPTの位置づけがまた変わります。最新情報の検索は、専用の検索AIに分がある場面も多いです。
ChatGPTは学習データと検索機能で広く答えるが、出典の明示や鮮度では検索特化型に譲ることがあります。日本語の検索AIならFeloの完全ガイドが参考になります。
調査をMakeで自動化し、結果をChatGPTで要約する、という分業も成立します。ここでも「比較して一方を捨てる」より「役割で配る」発想が効きます。
大手プラットフォームのAIとの違い
ChatGPTを比較する際、GoogleやMetaの統合AIも視野に入ります。料金プランの動きは各社バラバラです。
Googleは日本円建ての新プラン「Google AI Plus」を立ち上げ、2026年6月には月額1,200円から725円へ値下げするなど、価格戦略を頻繁に動かしています。Metaの動向はMeta AIとChatGPTの比較に整理しました。
プラットフォーム統合型は「すでに使っているサービスの中で完結する」のが利点。ChatGPTは独立した汎用ツールとして強いです。Makeはその独立ツール群を束ねる立場にあります。
どんな人がMakeを選ぶべきか
Makeが向くのは、繰り返し作業に時間を奪われている人です。
毎日同じデータ転記、定期レポートの集計、複数ツール間のコピペ。こうした「考えなくていいが手間な作業」が多いほど、Makeのリターンは大きいです。
逆に、作業が毎回違う・判断が要る・量が少ないなら、Makeを組む手間が見合いません。その場合はChatGPTで都度処理するほうが速いです。
どんな人がChatGPTを選ぶべきか
ChatGPTが向くのは、文章・企画・調査・コードなど「アウトプットの中身」を作る人です。
ライター、マーケター、企画職、エンジニア。頭を使うが時間がかかる作業を、対話で高速化できます。月20ドルの投資回収は早いです。
ただし、ChatGPTは指示の質で出力が大きく変わります。プロンプト設計を覚えるほど性能を引き出せます。ここはMakeの「組めば回る」とは違う、人間側の習熟が効く領域です。
業種別に見るとどう使い分けるか
業種が変われば最適解も変わります。具体例で見ます。
歯科クリニックのような現場では、予約管理や問い合わせ対応の自動化にMake、患者向け説明文の作成にChatGPT、という分担が現実的です。詳しくは歯科クリニックのAI活用事例にまとめました。
クリエイティブ制作なら、動画生成のSora活用ガイドのような専用ツールと、ChatGPTの企画出し、Makeの納品フロー自動化を組む形になります。
| 業種 | Makeの役割 | ChatGPTの役割 |
|---|---|---|
| 士業・コンサル | 書類処理・通知 | 文書ドラフト・要約 |
| EC・小売 | 受注連携・在庫同期 | 商品説明・接客文 |
| メディア | 入稿フロー | 記事ドラフト・校正 |
| 医療・クリニック | 予約・問い合わせ | 説明文・案内文 |
上表のとおり、ほとんどの業種で両者は競合せず分業します。これがMake対ChatGPTという問いへの、最も実務的な答えです。
導入時につまずきやすい落とし穴
両ツールとも、入れれば勝手に成果が出るわけではありません。
Makeの落とし穴はオペレーション消費の読み違いです。複雑なシナリオを組むと、想定よりオペレーションを食い、無料枠をすぐ超えます。最初は小さく作って実測するのが鉄則です。
ChatGPTの落とし穴は出力の鵜呑み。生成内容には事実誤りが混じます。重要な数字や固有名詞は必ず一次情報で裏取りします。特に商用利用では、Business/Enterpriseプランで学習除外を設定するなど、データの扱いを確認しておくとよいでしょう。
AI PICKS編集部の判定
MakeとChatGPTを「比較してどちらか」と問う時点で、たいていは選択を誤りかけています。両者は競合ではなく補完です。これが編集部の率直な見立てです。
性能の物差しが違い、コストの構造も違います。Makeは従量で回る配管、ChatGPTは固定費で雇う頭脳。比べるなら「自分の仕事が定型処理寄りか、判断・創造寄りか」を見極めるべきで、ツールの優劣を競わせる意味は薄いです。
予算配分の現実解はこうです。まずChatGPT Plus(月20ドル)で日々の知的作業を軽くします。これは投資回収が最速で、ほぼ全職種に効きます。次に、繰り返し作業が見えてきたらMakeを無料枠から試します。両方を契約しても多くのケースで月数千円。そして最大のリターンは、Make経由でChatGPTを呼び出し「判断つきの自動化」を作ったときに生まれます。
正直、片方だけで満足できるのは利用がごく軽い人だけ。本気で生産性を上げるなら、比較の発想を捨てて配線の発想に切り替えるのが、事業目線での正解です。
関連する比較・代替を見る
- MakeとChatGPTを直接比較する
- ChatGPTとGeminiを比較する
- ChatGPTとClaudeを比較する
- Makeの代替ツールを探す
- ChatGPTの代替ツールを探す
- 自動化ツールのカテゴリを見る
よくある質問(FAQ)
Q. MakeとChatGPTはそもそも比較してよいツールですか?
厳密には別カテゴリです。Makeは業務自動化(iPaaS)、ChatGPTは生成AI。役割が違うため「優劣」より「使い分け」で考えるのが正しいです。両者は組み合わせて使えます。
Q. 自動化を始めるならどちらが先ですか?
頭脳労働の効率化が目的ならChatGPTが先。即効性が高く学習コストも低いです。定型作業の自動化が目的ならMakeを無料枠から試します。多くの人はChatGPT→Makeの順が回収が早いです。
Q. コストはどちらが高くつきますか?
構造が違います。ChatGPT Plusは月額固定(20ドル)で予算が読めます。Makeは処理回数の従量で、自動化を増やすほど増えます。小規模なら両方合わせても月数千円規模で収まることが多いです。
Q. MakeでChatGPTを使えますか?
使えます。MakeはOpenAI(ChatGPT)連携を標準で持ち、自動化フローの中にAIの判断・生成を組み込めます。「メール分類→自動振り分け」のような判断つき自動化が代表例です。
Q. ChatGPTの料金プランはどう違いますか?
無料版は回数制限あり、Plusは月20ドルで高度なモデルと拡張機能が解放されます。法人向けにBusiness・Enterpriseがあります。料金は頻繁に改定されるため、契約前に公式の最新情報を確認してほしいです(2026年5月時点)。
Q. 日本語対応はどちらが上ですか?
文章処理の日本語精度はChatGPTが完全対応で快適。Makeは処理自体は言語を問わないが、管理画面が一部英語で初学者にはやや取っつきにくいです。
Q. プログラミング知識は必要ですか?
両方とも不要。Makeはノーコードで視覚的に組めます。ChatGPTは話しかけるだけ。ただしMakeは自動化の概念理解、ChatGPTはプロンプト設計に慣れるほど性能を引き出せます。
Q. セキュリティはビジネス利用に耐えますか?
Make・OpenAIともSOC2やISO27001といった主要認証を公開しています(2026年4月時点)。商用利用では、ChatGPTのBusiness/Enterpriseで学習除外を設定するなど、データ取り扱い条件を必ず確認すること。


