AI作曲ツールを「どれが一番いいか」で選ぶと、たいてい失敗します。歌入りのフルソングが欲しい人と、YouTubeに敷く30秒のループBGMが欲しい人では、最適解がまるで違うからです。
2026年のこの市場は、すでに明確な陣営に分かれています。フルソング制作の知名度はSunoとUdioが二強。一方で著作権の安全性を売りにするBGM特化型は別の系列にいます。この記事では、その地図をまず描いてから、用途別の組み合わせに落とし込みます。
AI作曲ツールは「曲を作る」か「BGMを敷く」かで二分される

最初に押さえるべきは、AI作曲ツールが2つの目的でできているという事実です。歌詞とボーカル込みの完成曲を吐くタイプと、映像や配信の背景に置くインストBGMを量産するタイプ。この区別を無視した比較は意味をなしません。
歌モノが欲しいならSuno・Udio系。権利が完全にクリーンなBGMが大量に欲しいならSoundraw・AIVA系。まずここで自分がどちら側かを決めます。
両方必要、というケースも当然あります。その場合は「組み合わせ」で考えます。後半の用途別構成がそこを担当します。
AI作曲とは何か、仕組みと2つの系統

AI作曲とは、大量の音楽データを学習したAIが、そのパターンや構造をもとに新しい楽曲を自動生成するサービスです。専門知識ゼロでも、テキストやイメージを入力するだけでオリジナル曲が完成します。
技術的な系統は大きく2つあります。歌詞→ボーカル付き楽曲を作る「フルソング生成」と、ジャンルや尺を指定してインストを作る「BGM生成」。前者の代表がSuno・Udio、後者がSoundraw・Loudly・Mubertです。
入力方法も2系統。プロンプト(自然文)でジャンルや雰囲気を指示するか、既存の歌詞を流し込んでメロディを付けるか。歌詞を入れるだけで作曲できるサービスは2026年に急増しました。
画像生成の世界でツールごとに得意分野が分かれているのと構造は同じです。生成AI全体の選び分けの考え方はComfyUIとStable Diffusionの比較記事も参考になります。
主要AI作曲ツールを一覧で比較する

代表的なツールを、性格・無料枠・有料価格でまず俯瞰します。価格はマイベストおよびModelHunter.AIのリサーチ結果(2026年6月時点)に基づきます。
| ツール | タイプ | 無料枠 | 有料価格 | 商用利用 |
|---|---|---|---|---|
| Suno | フルソング(歌モノ) | 1日最大10曲(50クレジット) | Pro $8/月・Premier $24/月 | 有料版のみ |
| Udio | フルソング(歌モノ) | 1日最大4曲(月100クレジット) | 標準$10/月・プロ$30/月 | 有料版のみ |
| Soundraw | BGM(インスト) | 試用あり | 要確認 | プランにより可 |
| AIVA | BGM(作曲特化) | 無料プランあり | 要確認 | プランにより可 |
| Loudly | BGM(VEGA-2系) | 試用あり | 要確認 | プランにより可 |
この表で言いたいのは1点。歌モノ二強(Suno/Udio)はクレジット制で「1日に作れる曲数」に上限があり、BGM系は使い放題に近い設計が多い、という構造の違いです。
価格や無料枠の有無が曖昧なツールは、上表で「要確認」としました。各社が頻繁に改定するため、契約前に公式ページで最終確認することを強く勧めます。
Suno|歌モノ含むフルソング生成で知名度No.1

Sunoは2026年のフルソング制作ツールとして最も知名度が高いです。リサーチ時点のモデルはv5.5系で、Udio v1.5と並んでこのカテゴリの双璧とされています。
無料プランでも1日最大10曲(50クレジット)生成できます。これは破格です。ブラウザのほかiOS/Androidアプリもあり、アプリ内課金はiOSが600円〜、Androidが620円〜。
歌詞を打ち込めばボーカル込みで曲が立ち上がる手軽さが圧倒的で、初めて触る1本目に向きます。WAVなど高品質書き出しや商用利用は有料版に限られる点だけ注意。
Udio|音質と編集の自由度で選ぶ
Udioはフルソング生成のもう一方の雄。無料枠は1日最大4曲(月100クレジット)とSunoより絞られるが、有料プランでWAV書き出しに対応します。
価格は標準$10/月、プロ$30/月。Sunoより高めだが、音の作り込みや編集の自由度を重視するユーザーから支持を集めています。
「とにかく曲数を回したい」ならSuno、「1曲をじっくり仕上げたい」ならUdio。この対比が選択の軸になります。
SunoとUdioはどう違う?
両者の差は3点に集約されます。無料枠の曲数、価格、そして書き出し品質です。
Sunoは無料で1日10曲と量で押せます。Udioは無料1日4曲と少ないが、有料化したときのWAV対応や編集寄りの設計で質を取りにいきます。価格はSuno Pro $8に対しUdio標準$10と、入門帯でもUdioがやや高いです。
正直に言えば、最初の1本はSunoの無料枠で十分です。量を回して「AI作曲の手触り」を掴んでから、編集や音質に不満が出たタイミングでUdioを試します。この順番が無駄がありません。
両者を直接見比べたいならSuno vs Udioの比較ページに詳しい対照があります。
Soundraw・AIVA|著作権クリーンなBGMを敷くなら
歌は要らない、映像の裏に流すBGMが欲しいです。その場合は歌モノ二強ではなくSoundrawやAIVAの出番です。
Soundrawはジャンル・ムード・尺を指定してインストを量産し、商用利用しやすいライセンス設計が売り。AIVAは作曲そのものに特化し、クラシックやシネマティックなBGMに強いです。
このBGM系は「権利の安全性」で歌モノ系に勝る。YouTubeやクライアント案件で著作権申し立てのリスクを避けたいなら、こちら側を本命に据えるべきです。
無料で使えるAI作曲ツールはどれ?
「AI作曲無料」で探すなら、まず無料枠の中身を比較するのが先決です。下表に主要ツールの無料条件をまとめました。
| ツール | 無料でできること | 制限 |
|---|---|---|
| Suno | 1日最大10曲(50クレジット) | WAV/商用は有料 |
| Udio | 1日最大4曲(月100クレジット) | WAVは有料版のみ |
| AIVA | 無料プランで作曲を試せる | 商用範囲に制限 |
| Boomy | ブラウザで即作曲 | 配信・権利は要確認 |
要点を1つ。無料枠は「作れる」けれど「商用で使える」とは限りません。SunoもUdioも商用利用とWAV書き出しは有料版のみです。
つまり、趣味や下書きなら無料で完結します。仕事で納品するなら、ほぼ確実に課金が前提になります。無料枠は「相性を確かめる試走」と割り切るのが現実的です。
商用利用はできる?著作権の落とし穴
ここが一番事故りやすいです。AI作曲ツールの商用利用は「プランによって可否が変わる」のが原則で、無料枠のまま納品すると規約違反になりえます。
SunoとUdioは商用利用を有料版に限定しています。無料で作った曲をクライアント案件やマネタイズ動画に乗せると、規約上アウトになるケースがあります。
さらに、生成AI特有の論点として「学習データ由来の類似性」があります。出てきた曲が既存曲に酷似していないかは、人間が最終確認する責任が残ります。AIが作ったから安全、とはなりません。
実務では、案件用は商用OKの有料プラン+権利がクリーンなBGM系(Soundraw/AIVA)を組み合わせるのが鉄則です。歌モノ二強だけで全案件をまかなおうとすると、どこかで権利の壁にぶつかります。
用途別の組み合わせ構成例
ここからが本題です。単体で選ばず、用途ごとに「主役+補助」の組み合わせで考えます。下表が結論の早見表になります。
| 用途 | 主役ツール | 補助ツール | 狙い |
|---|---|---|---|
| YouTube/動画 | Soundraw | Suno | BGMは権利クリーン、要所で歌モノ |
| 配信/ポッドキャスト | Mubert | AIVA | ループBGM+ジングル |
| ゲーム/アプリ | AIVA | Loudly | シーン別BGMを量産 |
| 歌モノ/オリジナル | Suno | Udio | 量で回し、本命を音質で仕上げ |
この4パターンを、次のセクションから1つずつ掘り下げます。共通する考え方は「権利が問われる場所はBGM系、表現で勝負する場所は歌モノ系」という役割分担です。
YouTube・動画向けの構成はどう組む?
動画のBGMは、視聴者に申し立てが飛ぶと収益化が止まります。だからベースは権利クリーンなSoundrawで敷きます。
そのうえで、オープニングやハイライトの「ここぞ」の場面だけSunoの歌モノを差し込みます。全編を歌モノにすると権利確認が膨大になるので、点で使うのがコツです。
動画編集側のワークフローは、生成AI動画ツールの選び方とも地続きになります。映像生成まで含めて設計したいならSoraの活用ガイドを併読すると流れが見えます。
ポッドキャスト・配信向けの構成
配信やポッドキャストは、長時間途切れずに流せるループBGMが命です。ここはMubertのような連続生成・使い放題寄りのツールが向きます。
番組のオープニングやコーナー切り替えのジングルは、AIVAで短く印象的なフレーズを作ります。地味だが、ジングルがあるだけで番組の「らしさ」が一段上がります。
声が主役のコンテンツでは、BGMは出しゃばらないインストに徹するのが正解。歌モノを流すと声と喧嘩します。
ゲーム・アプリ開発向けの構成
ゲームはシーン数だけBGMが要ります。戦闘・探索・メニュー・エンディング。この量を人力外注すると予算が溶けます。だから作曲特化のAIVAでシーン別に量産します。
雰囲気違いのバリエーションはLoudly(VEGA-2系)で補います。ジャンル指定で大量に出せるので、仮組みのプレースホルダーにも本番にも回せます。
開発フローへの組み込みを考えるなら、APIの有無が効いてきます。AIVAやBeatoven、Loudlyは一部APIを提供しており、ビルドに音楽生成を組み込む余地があります。
歌モノ・オリジナル楽曲制作向けの構成
自分名義の楽曲を作りたいなら、主役はSunoで量を回します。1日10曲の無料枠を使い、ボツ前提で大量に試作してアイデアを掴みます。
「これだ」という方向が見えたら、Udioの有料版でWAV書き出しまで仕上げます。量はSuno、質の追い込みはUdio、という役割分担です。
歌詞は別途、テキスト生成AIで叩き台を作ると効率がいいです。リサーチや文章生成の使い分けはFeloの完全ガイドが参考になります。
日本語の歌詞・ボーカルはどこまで使える?
正直イマイチな部分も書いておきます。主要ツールのUIは英語中心で、日本語の歌詞は「入力はできるが発音が揺れる」のが2026年6月時点の実情です。
歌詞を日本語で流し込んでも、AIが英語的に発音したり、音節の区切りが不自然になることがあります。短いフレーズや、ひらがな主体の歌詞のほうが安定しやすいです。
対策は2つ。発音が崩れる箇所を仮名やローマ字に置き換えて試行錯誤するか、ボーカルを諦めてインストBGM系に寄せるか。日本語ボーカルを本気で詰めるなら、まだ人の手直しが前提になると考えておくのが安全です。
料金はいくらかかる?
実数で答えます。歌モノ二強の入門帯はSuno Pro $8/月、Udio標準$10/月。本格運用ならSuno Premier $24/月、Udioプロ$30/月になります。
スマホ完結派は、Sunoのアプリ内課金がiOS 600円〜・Android 620円〜から始められます。まず無料枠、相性が合えば月$8〜$10の入門プラン、というステップが無駄がありません。
BGM系(Soundraw・AIVA・Loudly)は価格体系が各社バラバラで頻繁に改定されます。本記事では断定を避け「要確認」としました。契約直前に必ず公式の最新料金を見ること。
AI PICKS編集部の判定
結論から言います。2026年6月時点で、AI作曲ツールに「万能の一択」は存在しません。歌モノ二強(Suno・Udio)とBGM特化型(Soundraw・AIVA・Loudly)は目的が真逆で、片方で全部やろうとすると必ず権利か表現力のどちらかで詰まります。
そのうえで編集部の推しは明確です。最初の1本はSunoの無料枠(1日10曲)で握ります。これは入門の手触りとして圧倒的に良く、課金前に相性を見極められます。曲数を回してアイデアが固まったら、音質と編集を求めてUdioへ。ここまでが歌モノの黄金ルートです。
一方、仕事で納品する映像・配信・ゲームは話が別です。商用利用とWAVが有料前提である以上、権利がクリーンなBGM系を本命に据え、歌モノは点で足します。この「BGMで土台、歌モノで一点突破」の二段構えが、2026年の現実解だと編集部は判断します。無料枠だけで案件を回そうとするのは、規約面で正直おすすめしません。
実務で見るポイント
率直な感想を残します。Sunoの無料枠で曲が立ち上がる瞬間は、初見だと普通に驚きます。歌詞を入れてボーカルが付くまでの速さは破格で、ここだけ見れば歌モノはもう手放せない領域に入った。
ただ日本語ボーカルの発音は、まだ微妙です。英語的に崩れる箇所が残り、本番投入には手直しが要ります。ここを過度に期待すると裏切られます。
逆に地味に効くのがBGM系の権利の安心感です。動画案件で申し立てに怯えなくていいのは、作業効率以上に精神衛生に効きます。「曲を作る楽しさ」はSuno、「仕事で事故らない安心」はSoundraw/AIVA。この温度差を理解して組み合わせるのが、2026年の賢い使い方です。
よくある質問(FAQ)
Q. AI作曲ツールでまず試すべきはどれ?
Sunoの無料枠(1日最大10曲)が入門に最適だ。歌詞を入れるだけでボーカル付きの曲が出るので、AI作曲の手触りを最短で掴める。
Q. AI作曲は無料で完結する?
趣味や下書きなら無料で足ります。ただしSuno・Udioとも商用利用とWAV書き出しは有料版のみで、仕事の納品には課金がほぼ前提になります。
Q. SunoとUdioはどちらがいい?
量を回すならSuno(無料1日10曲・Pro $8)、音質と編集を詰めるならUdio(WAV対応・標準$10)。最初はSuno無料枠、不満が出たらUdio、の順が無駄がありません。
Q. 商用利用で著作権は大丈夫?
有料プランなら商用可のツールが多いが、生成物が既存曲に酷似していないかは人間の最終確認が必要です。案件では権利がクリーンなBGM系(Soundraw・AIVA)を本命にするのが安全。
Q. 日本語の歌詞やボーカルは使える?
入力は可能だが、発音が揺れるのが2026年6月時点の実情。短い歌詞やひらがな主体が安定しやすく、本格的な日本語ボーカルはまだ手直し前提と考えるべきです。
Q. 動画やゲームのBGMにはどれが向く?
権利申し立てを避けたい動画はSoundraw、シーン別に量産したいゲームはAIVAやLoudlyが向きます。APIを提供するツールならビルドへの組み込みも検討できます。
Q. APIで自社サービスに組み込める?
AIVA・Beatoven・Loudlyなど一部のツールがAPIを提供しています。料金や利用条件は各社で異なるため、導入前に公式ドキュメントの確認が必須です。
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生成AIの全体像を押さえたいなら、MetaのAIガイドやAI-OCRツールの選び方も用途別の選び分けの参考になります。
各ツールの公式サイト(一次情報)
料金・機能・対応範囲は各社公式が一次情報です。本記事は公開時点の検証に基づきますが、最新かつ正確な条件は必ず各公式ページで確認してください。
- Suno:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Udio:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- SOUNDRAW:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Aiva AI:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Stability AI Audio:公式サイト(AI PICKSの詳細)




