会議の議事録作成は、もはや人が手で書く仕事ではありません。AIが音声を文字に起こし、要点を抽出し、誰の発言かまで振り分けます。2026年時点で日本語対応のAI議事録ツールは40製品を超え、ITreviewの集計では比較対象だけで44製品に上ります。
問題は「どれを選ぶか」です。精度の低いツールを掴むと、結局手直しに時間を取られて元の木阿弥になります。ここでは研究結果の実データだけを使い、精度・料金・セキュリティの三軸で11製品を裁きます。
AI議事録の自動作成ツールとは何か

AI議事録の自動作成ツールとは、会議の音声を自動で文字に起こし、発言内容を記録・整理して議事録化するソフトウェアです。手作業の議事録と比べ、作成時間と労力を大幅に削減できます。
中核は3つの技術。音声認識による「文字起こし」、誰が話したかを分ける「話者分離・話者識別」、そして要点を抜く「自動要約」です。この3つが揃って初めて、会議直後に読める議事録が出てきます。
逆に言えば、この3つのどれかが弱い製品は議事録ツールとして半端です。文字起こしだけなら無料の音声入力でも足ります。話者識別と要約があるからこそ、議事録という体裁になります。
なぜ今AI議事録ツールが急増しているのか

会議の音声は、企業にとって「誰が・いつ・何を話したか」が明確に記録された情報資産になります。属人的なメモではなく、検索・再利用できるデータとして残る点が大きいです。
加えて、会議に出られなかったメンバーへの共有がURL一つで済みます。議事録を清書して回覧する文化そのものが、URLリンク一本に置き換わりつつあります。
人的ミスによる手戻りや修正も減ります。議事録作成に費やしていた時間を、より生産性の高い業務へ振り向けられます。これが導入が止まらない実利です。
AI議事録ツールで何が変わる?

一番変わるのは「会議が終わった瞬間に議事録がある」という時間構造です。従来は会議後に30分〜1時間かけて清書していました。それがゼロになります。
第二に、発言の取りこぼしが消えます。人間は聞きながら書くと必ず漏らします。AIは全発言を拾い、後から音声と紐づけて確認できます。Rimo Voiceのようにテキストと音声データが紐づく製品なら、該当箇所をワンクリックで聴き直せます。
第三に、共有のスピードが変わります。録音から編集・共有までを1台の端末で完結できる製品もあり、会議室を出る頃には関係者へ展開済み、という運用が現実になります。
AIの業務活用をもっと広く捉えたい人は、Meta AIの実務ガイドやFeloの完全ガイドも合わせて読むと、議事録以外の自動化の地図が掴めます。
おすすめAI議事録ツール11製品の早見表

まず全体像を一枚で掴みます。料金と特徴を研究データの実数で並べました。価格は各社公称の最低ラインで、プランや人数で変動します。
| ツール名 | 料金(最低ライン) | 主な強み | セキュリティ認証 |
|---|---|---|---|
| LINE WORKS AiNote | 要問い合わせ | 文字正解率90.8%・自動話者分離 | 二段階認証・権限管理 |
| Rimo Voice | 4,950円〜(定額・時間無制限) | 日本語特化エンジン・音声テキスト紐づけ | ISO/IEC 27001・27017 |
| Notta | 無料枠あり | 多言語・主要Web会議連携 | 公称取得あり |
| AI GIJIROKU | 29,800円〜 | 多言語・連携豊富 | ─ |
| toruno | 27,000円〜(月30時間・税抜) | 30秒ごと画面自動キャプチャ | ─ |
| ギージー | 5,000円〜(月300分) | 誤字脱字の自動変換が高精度 | ─ |
| YOMEL | 要問い合わせ | 商談・会議特化 | ─ |
| AmiVoice ScribeAssist | 要問い合わせ | 端末完結・オフライン録音 | ─ |
| logmeets | 要問い合わせ | 会議ログ管理 | ─ |
| tl;dv | 無料枠あり | 録画+要約・海外発 | ─ |
| Otolio | 要問い合わせ | 会議記録自動化 | ─ |
数字を見ると、無料枠スタート(Notta・tl;dv)、個人向けの定額(Rimo Voice・ギージー)、時間枠をまとめて買う法人向け(toruno・AI GIJIROKU)の3層に分かれます。自社の月間会議時間がどこにハマるかで答えはほぼ出ます。
文字起こし精度で選ぶならどれが強い?
最も重要なのは音声認識の精度です。文字起こしの正確さが低いと手直しに時間を取られ、導入メリットが減ってしまいます。ここを軽視した製品選びは必ず後悔します。
公称値で頭一つ抜けるのがLINE WORKS AiNote。独自の音声認識技術で文字正解率90.8%、数字認識率80.3%を実現し、事前設定なしで複数話者を自動分離します。フィラー除去や業界特化モデルにも対応し、日本語・英語・中国語・韓国語を認識できます。
日本語の崩れた口語に強いのは日本語特化エンジンのRimo Voice。専門用語や固有名詞が飛び交う会議では、汎用多言語モデルより国産特化型が安定しやすいです。
誤字脱字の自動変換まで踏み込むのがギージーで、変換精度の高さを売りにしています。精度は「認識率」だけでなく「後処理の賢さ」で決まる、という良い例です。
話者分離と話者識別はなぜ両方必要か
話者分離と話者識別は混同されがちだが別物です。話者分離が「発言者ごとに内容を区別する」機能なのに対し、話者識別は「その発言者が具体的に誰であるか」を特定し、会議記録に名前を自動反映する機能です。
分離だけだと「話者A・話者B」までしか出ません。識別まで対応すると「鈴木・田中」と名前で記録されます。決裁や責任の所在を残す議事録では、ここの差が地味に効きます。
LINE WORKS AiNoteは事前設定なしで複数話者を自動分離する点を強みに掲げます。導入時の話者登録の手間をどこまで省けるかも、運用負荷を左右します。
料金はいくらかかる?無料で使えるツールはある?
料金は製品間で破格に開きます。公称の最低ラインを並べると、Rimo Voice 4,950円〜(税込・時間無制限)、ギージー5,000円〜(月300分)、toruno 27,000円〜(月30時間・税抜)、AI GIJIROKU 29,800円〜となります。
| 料金タイプ | 該当ツール | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 無料枠スタート | Notta / tl;dv / LINE WORKS系 | まず精度を試す・個人や小規模 |
| 個人向けの定額 | Rimo Voice(4,950円〜・時間無制限)/ ギージー(5,000円〜・月300分) | 会議が毎週ある・少人数 |
| 時間枠をまとめて買う | toruno(27,000円〜・月30時間)/ AI GIJIROKU(29,800円〜) | 全社導入・会議が多い |
無料で始めたいなら、Zoom・Teams・Google Meetなど主要Web会議ツールと連携でき、高精度な音声認識と自動要約・話者識別を備えた無料プラン搭載ツールがあります。NottaやLINE WORKS系がこの層に入ります。
注意点は、無料枠は録音時間や月間文字数に上限があること。会議が週数本を超えるなら、結局有料へ移る前提で精度だけ無料枠で見極めるのが賢いです。料金の最新値は各製品の公式ページで必ず確認してほしいです(2026年6月時点の公称値)。
Web会議連携とテンプレート機能はどこまで進んでいる?
実務では「会議ツールと自動でつながるか」が効率を決めます。主要製品はZoom、Microsoft Teams、Google Meetなど主要Web会議ツールと連携でき、1台の端末で録音から文字起こしまで完結できます。
LINE WORKS AiNoteはZoomやTeamsと連携し、録音から編集・共有までシンプルに操作できる設計です。連携が浅いと録音ファイルを手で取り込む手間が残り、自動化の意味が半減します。
テンプレート対応も進みます。会社のテンプレートに合わせたレイアウトや、必要な情報を適切な位置に配置できる製品があり、議事録の完成度と共有のしやすさが高まります。決裁フォーマットが固い企業ほど効いてきます。
セキュリティで会社が止めないツールはどれか
議事録は機密の塊です。情シスが導入を止める最大の理由はセキュリティで、ここをクリアできるかが社内承認の分水嶺になります。
認証で安心材料が厚いのがRimo Voice系で、ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)とISO/IEC 27017(クラウドサービスセキュリティ)を取得済みとされます。2つ取得済みは、機密会議を扱う企業にとって説明コストを下げます。
| セキュリティ要件 | 確認すべき認証・機能 | 該当例 |
|---|---|---|
| 第三者認証 | ISO/IEC 27001・27017 | Rimo Voice等 |
| アクセス制御 | 二段階認証・権限管理 | LINE WORKS AiNote |
| データ所在 | 国内サーバー・保存期間設定 | 各製品で要確認 |
機能面では、LINE WORKS AiNoteが二段階認証や権限管理を備え、機密性の高い会議でも使える設計を打ち出します。認証ロゴだけでなく、誰がどの議事録を見られるかの権限設計まで見るのが正しいです。
オフライン・端末完結型という選択肢
クラウドに音声を上げたくない会議もあります。役員会、人事、M&A関連。こうした場面では端末完結型が刺さります。
AmiVoice ScribeAssistはこの系統で、外部送信を避けたい現場の選択肢になります。torunoはパソコンの画面を30秒に1度自動でキャプチャし、音声の文字起こしも可能という独自路線です。画面と音声を両取りできるのは、資料を見ながら進む会議で重宝します。
クラウド型と端末型は優劣ではなく用途の違いです。一般会議はクラウドで効率を取り、機密会議は端末完結、という二刀流が現実解になります。
失敗しない選び方の4ステップ
選定で迷ったら、優先順位を固定するのが早いです。研究各社の解説を踏まえると、見るべきは精度→セキュリティ→連携→料金の順です。
- 会議の主言語と話者数を決める:日本語中心なら国産特化、多言語混在なら多言語対応へ
- 無料枠で実際の会議音声を流す:公称精度より自社音声での実測が正義
- セキュリティ要件を情シスと握る:ISO認証や権限管理の要否を先に確定
- 月間会議時間で料金プランを選ぶ:月数時間なら無料枠か個人向けの定額、全社で回すなら時間枠制の法人プラン
この順番を崩して料金から入ると、安く入れたのに精度が足りず使われなくなる、という典型的な失敗を踏みます。精度の検証を飛ばさないことが何より大事です。
歯科医院のように現場特化でAIを使う事例を知りたい人は歯科医院のAI活用ユースケースも参考になります。業種が違っても「現場の音声をどう資産化するか」の発想は共通します。
自社に合うのはどれ?タイプ別の結論
会議が多く精度最優先の企業は、文字正解率を公称するLINE WORKS AiNoteか、日本語特化のRimo Voiceが軸になります。手直し時間の削減効果が、月額固定のコストを上回りやすいです。
少人数スタートアップや会議量が読めないチームは、月4,950円で時間無制限のRimo Voiceか、月300分5,000円のギージーが現実的です。会議が増えても請求が跳ねません。
まず触ってみたい個人・小規模なら、無料枠のあるNottaやtl;dvから。精度に納得したら有料へ、という段階導入が損をしません。
機密会議が中心なら、ISO/IEC 27001・27017取得のRimo Voice系か、端末完結のScribeAssistへ寄せます。ここはコストより信頼が優先される領域です。
議事録の次に来るAI活用
議事録ツールの導入は入口にすぎません。会議記録がデータ資産化すると、次は「議事録を横断検索する」「決定事項を自動でタスク化する」というAI活用フェーズに進みます。
蓄積された会議ログは、過去の決定の根拠を辿る検索基盤になります。ここまで来ると、議事録ツールは単なる文字起こしを超え、組織の意思決定アーカイブへ育ちます。
生成AIで業務全体を組み替える発想は、画像生成や検索の領域とも地続きです。たとえばComfyUIとStable Diffusionの比較やSoraの活用ガイドを読むと、音声・画像・動画の自動化が一つの流れに繋がっているのが見えてきます。
AI PICKS編集部の判定
正直に言います。AI議事録ツールは「精度の上位3〜4製品」と「それ以外」の差が、料金差より大きいです。文字起こしの正確さが低い製品を選ぶと、手直しで時間が溶け、導入メリットが消えます。だからこそ、精度を最初に潰すのが鉄則です。
現時点で編集部が軸に据えるのは、文字正解率90.8%を公称するLINE WORKS AiNoteと、日本語特化で音声紐づけが効くRimo Voiceの2強。機密会議が多いならISO/IEC 27001・27017取得のRimo Voice系が一択に近いです。一方、まず費用を抑えたい少人数チームには、無料枠のNottaやtl;dvが破格に始めやすいです。
逆に、料金だけで選ぶのは微妙です。安く入れて精度に泣くより、無料枠で自社音声を実測してから有料へ移るほうが、結果的に総コストは下がります。「精度→セキュリティ→連携→料金」の順を崩さないこと。これが2026年の議事録ツール選びで失敗しない、ほぼ唯一の型です。
編集部の評価
公開情報とリサーチに基づく率直な評価を残します。
- 精度の見える化が進んだのは圧倒的に良い:90.8%のように数値で公称する製品が増え、博打感が減った
- 料金の不透明さは正直イマイチ:ハイエンドは「要問い合わせ」が多く、横並び比較がしにくい
- 無料枠の存在は重宝する:実音声で精度を試せる導線が整い、選定リスクが下がった
- セキュリティ認証はもっと標準化してほしい:ISO取得の明記がある製品はまだ一部に偏る
2026年のAI議事録ツールは「選べば確実に時短になる」成熟段階に入った。残る課題は料金の見通しの悪さで、ここは各社の公式確認が欠かせません。
よくある質問(FAQ)
Q. AI議事録ツールの文字起こし精度はどのくらい?
公称値の上位はLINE WORKS AiNoteで、文字正解率90.8%・数字認識率80.3%を掲げます。ただし実際の精度は会議の音質・話者数・専門用語で変わるため、無料枠で自社音声を試すのが確実です。
Q. 無料で使えるAI議事録ツールはある?
あります。Zoom・Teams・Google Meet連携と自動要約・話者識別を備えた無料プラン搭載ツールが存在し、NottaやLINE WORKS系がこの層に入ります。録音時間や月間文字数に上限がある点は要確認。
Q. 料金の相場はいくら?
幅が広いです。Rimo Voice 4,950円〜(税込)、ギージー5,000円〜(月300分)、toruno 27,000円〜(月30時間・税抜)、AI GIJIROKU 29,800円〜が公称の目安。月数時間なら個人向けの定額、全社で回すなら時間枠制が向きます。
Q. 話者分離と話者識別は何が違う?
話者分離は「発言者ごとに内容を区別する」機能、話者識別は「その発言者が具体的に誰か」を特定して名前を自動反映する機能です。責任の所在を残す議事録では識別まで対応した製品が望ましいです。
Q. セキュリティで安心なのはどのツール?
ISO/IEC 27001・27017を取得済みのRimo Voice系が、機密会議を扱う企業の選定で残りやすいです。加えてLINE WORKS AiNoteは二段階認証・権限管理を備えます。
Q. オフラインや端末内だけで使えるツールはある?
AmiVoice ScribeAssistのような端末完結型があり、外部送信を避けたい機密会議に向きます。torunoは画面を30秒ごとに自動キャプチャしつつ文字起こしする独自仕様です。
Q. 既存のWeb会議ツールと連携できる?
主要製品はZoom・Microsoft Teams・Google Meetと連携でき、録音から文字起こしまで1台で完結します。連携が浅い製品は手動取り込みが残るため、導入前に対応会議ツールを確認するとよいでしょう。
関連する比較・代替を見る
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各ツールの公式サイト(一次情報)
料金・機能・対応範囲は各社公式が一次情報です。本記事は公開時点の検証に基づきますが、最新かつ正確な条件は必ず各公式ページで確認してください。
- Notta:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Rimo Voice:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- AI GIJIROKU:公式サイト(AI PICKSの詳細)




