「リートンって前は無料でAIが使い放題だったのに、開いたら知らないキャラのアプリに飛ばされた」。ここ数ヶ月で同じ経験をした人がかなりいます。壊れたわけでも、乗っ取られたわけでもありません。日本向けの中身が丸ごと入れ替わりました。
リートンとは、韓国のAIサービス企業Wrtn Technologiesが展開するAIサービスの名前です。日本では2023年から「wrtn(リートン)」というAIチャットとして提供され、2025年9月末で停止しました。いまは同社日本法人が運営するAIキャラクターチャット「キャラぷ」に一本化されています。
つまり、名前が変わったのではなく、サービスの目的そのものが変わったということ。
リートンとは何だったのか

リートンは、複数の生成AIを1つの画面から無料で使えることを打ち出したAIチャットサービスです。文章生成、検索、画像生成をまとめて扱えるのが特徴でした。
当時の売りは料金体系にありました。ChatGPTの上位モデルが有料だった時期に、リートンは会員登録だけで高性能モデルに触れる導線を用意していたのです。日本語のUIで、しかも回数制限をほとんど感じさせません。この一点で一気に知られました。
機能は大きく3つに分かれていました。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| AIチャット | 質問への回答、Web検索、文章の下書き、画像生成 |
| AIキャラチャット | オリジナルのAIキャラを作って会話する |
| 作成支援 | プロンプトのテンプレート、資料の下書き作成 |
つまり、汎用のAIアシスタントとキャラクター遊びが1つのアプリに同居していた状態です。
この「同居」が、のちの分岐点になりました。
いつ何が起きたのか。停止までの経緯

リートンテクノロジーズの公式プレスリリースをたどると、キャラクター機能の強化が段階的に進んでいたことが分かります。日付順に並べると、方向転換は突然ではありません。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2023年 | 日本向けにAIチャット「wrtn(リートン)」提供開始 |
| 2024年10月24日 | 大規模リニューアル第2弾。AIキャラの共有・検索、安心フィルター、スーパーモード、資料作成機能を追加 |
| 2025年6月10日 | AIキャラチャット「キャラぷ」を提供開始。ローンチ時のAIキャラは8,000体以上 |
| 2025年9月9日 | キャラぷに「図鑑」機能とコンビニ決済を追加。累計AIキャラは40万体超 |
| 2025年9月10日 | 公式Xで「wrtnは9月末で停止」と告知 |
| 2025年9月末 | 日本版wrtn停止。Webはキャラぷへリダイレクト、アプリは利用不可に |
つまり、2024年秋のリニューアルの時点ですでにキャラクター側に軸足が寄っていて、2025年6月の新アプリ投入で受け皿を作り、3ヶ月後に本体を畳んだという流れです。
ローンチ時8,000体だったAIキャラが3ヶ月で40万体を超えている点は見逃せません。ユーザーが作る側に回った証拠です。
告知では、アカウントやキャラなどのデータは自動でキャラぷへ引き継がれるとされました。データが消えたわけではない、というのは救いでしょう。
なぜ無料・無制限のAIチャットは続かなかったのか?
高性能なAIモデルを呼び出すたびに、運営側には計算コストがかかります。無料で回数制限がなければ、使われるほど赤字が膨らむ構造。ここが本質です。
AIチャットの原価は、利用者が入力した文章と出力された文章の量に比例します。使う人が増えるほど固定費で吸収できる、という一般的なWebサービスの理屈が効きません。
しかもAIチャットは差別化が効きにくい領域です。同じ基盤モデルを呼び出している限り、答えの質は横並びに近づきます。実際、公開ベンチマークで各モデルの実力を比べる文化が定着したことで、「どのアプリか」より「どのモデルか」で選ばれるようになりました。モデルごとの成績の見方はLiveBenchの読み解き方にまとめてあるので、比較の物差しを持ちたい人はそちらが早いです。
対してキャラクターチャットは違います。ユーザーが作った40万体のキャラそのものが資産になり、他社に持ち出せません。会話が続くほど愛着が増え、課金の理由になります。
原価が読めて、他社が真似しにくく、課金が自然に成立します。この3つが揃う場所へ移った、と読むのが素直です。
同じことは、無料で始まった実験的なAIサービス全般に言えます。Googleが実験段階のプロダクトを公開する枠組みでも、続くものと畳まれるものが分かれます。実験プロダクトの位置づけについてはGoogle Labsの新機能の扱い方が参考になります。
移行先の「キャラぷ」は何ができる?
キャラぷは、自分が主人公になってAIキャラと物語を進めるチャットアプリです。運営はリートンテクノロジーズジャパン。恋愛、ファンタジー、ミステリーといったシナリオから選び、会話の選択で展開が変わります。
汎用アシスタントではありません。ここを勘違いすると期待外れになります。
主な機能はこのあたりです。
- AIキャラとのテキストチャット。会話の内容でストーリーが分岐する。チャットモードは複数あり、上位モードほど1回の消費ゴールドが増える
- オリジナルキャラの作成。「キーワードブック」で世界観の設定を細かく持たせられる
- 図鑑機能。チャット中に開いた画像をチャットルーム単位で自動保存し、コレクションできる
- 創作コンテスト。公式が賞金付きのキャラ制作企画を実施している
図鑑機能は地味に効きます。未開封の画像はぼかしで表示されるため、「まだ見ていない絵がある」という状態が可視化される設計です。会話を続ける動機を、UIの側から作りにきています。
画像そのものの品質を気にする人は、いまの画像生成AIの水準を先に把握しておくと比較しやすいはずです。Googleの画像生成モデルの実力を見ておくと、キャラチャット内の画像が何をしているのか掴めます。
キャラぷ単体の詳しい使い方はキャラぷの機能と使い方ガイドに分けてあります。
キャラぷの料金はいくら?ゴールド制の実額
アプリのダウンロードは無料です。会話するときに「ゴールド」という内部通貨を消費します。App Storeの日本向けアプリ内課金は次の通りです(2026年9月時点)。
| 購入するゴールド | 価格 | 1ゴールドあたり |
|---|---|---|
| 200ゴールド | 280円 | 1.40円 |
| 500ゴールド | 700円 | 1.40円 |
| 1,000ゴールド | 1,400円 | 1.40円 |
| 3,000ゴールド | 4,200円 | 1.40円 |
| 5,000ゴールド | 7,000円 | 1.40円 |
| 10,000ゴールド | 14,000円 | 1.40円 |
| 初回購入限定 1,000ゴールド | 990円 | 0.99円 |
| 初回購入限定 3,000ゴールド | 2,990円 | 約1.00円 |
通常のパックは、200ゴールドでも10,000ゴールドでも1ゴールド1.40円。まとめ買いの割引がありません。安くなるのは初回購入限定の2種類だけで、こちらは1ゴールドあたり約1円。3割引きに近い水準です。
つまり最初の1回だけが安く、以降はいくら積んでも単価が動かない設計です。試すつもりなら初回枠から入るのが素直な入り方になります。
では1回の会話はいくらか。チャットモードごとに必要ゴールドが変わります。ここは何度か改定が入っている部分です。
| チャットモード | 消費ゴールド | 1回あたりの実額 | 出どころ |
|---|---|---|---|
| パワーチャット | 3ゴールド(その後に割引の継続提供を発表) | 約4.2円 | 2025年6月の公式リリース |
| スーパーチャット | 8ゴールド | 約11.2円 | 2025年7月の公式お知らせ |
| ウルトラチャット・ハイパーチャット | 上位モードのため上ぶれ | アプリ内表示が正 | 2025年7月14日に追加 |
ウルトラチャットとハイパーチャットは、公式お知らせが「業界最高水準」と説明している上位モードです。いまのApp Storeの紹介文でも、高品質な会話の代表としてウルトラチャットが名指しされています。消費ゴールドは公式サイトに常時掲示されないので、課金前にアプリ内の表示で確認してください。
パワーチャットの3ゴールドにも注意が要ります。2025年7月末の公式リリースで「パワーチャット割引の継続提供」が発表されているため、実際に引かれる数はここより少ない可能性があります。
チャット以外にもゴールドは減ります。2026年8月7日の公式お知らせで、画像作成が11ゴールド、キャラぷで作った画像の変換が9ゴールドに改定されました。会話より画像のほうが高い、という点は押さえておいてください。
もらえる側の話も。会員登録の時点で320ゴールドが配られます。App Storeの説明では「チャット最大100回分」。ログインボーナスも2025年7月に正式継続が決まっています。無料でどこまで遊べるかは、この配布分をどう使うか次第です。
軽いモードなら1日20往復しても月2,500円前後、スーパーチャットで同じ量を回すと月6,700円前後という計算になります。定額制ではないので、遊ぶ量がそのまま請求額になります。ここが月額制のAIチャットとの最大の違いです。
ゴールドの貯め方や消費の細かい話はキャラぷのゴールド料金の詳細にまとめています。
ここまでの整理: 日本版wrtnは2025年9月末で停止。移行先のキャラぷはAIキャラとの物語チャットに特化していて、会話ごとの従量課金です。汎用のAI作業は別のツールに移す前提で考えるのが正解です。
旧リートンでできたことは、いま何で代替する?
「無料でAIに文章を書かせたい」という用途は、キャラぷでは満たせません。用途ごとに移し先を決めるのが早いです。
| 旧リートンでの用途 | いまの現実的な移し先 |
|---|---|
| 文章の下書き・要約 | ChatGPT や Claude の無料枠 |
| Web検索を伴う調べもの | Perplexity や Felo |
| 資料・スライドの下書き | Gemini や Genspark |
| 画像生成 | 画像生成AIツールの一覧から用途別に選ぶ |
| AIキャラとの会話 | キャラぷ、Character.AI、Talkie、ゼタ |
つまり、1つのアプリで全部やっていた状態が、用途ごとにバラけたということ。手間は増えます。ただ、それぞれの領域で強いツールを選べるようになったとも言えます。
無料枠の広さで選ぶなら、いまは主要な汎用AIチャットの無料枠がリートン全盛期より広がっています。乗り換えの痛みは、思っているより小さいはずです。

韓国の本体はどうなっている?
日本版が止まったので事業が傾いたと読む人がいますが、逆です。
公式プレスリリースによると、リートンテクノロジーズは2026年8月にシリーズCラウンドで総額1,000億ウォン(約115億円)の資金調達を完了しています。調達資金はグローバル展開と、青少年保護の仕組みづくりに充てるとされています。
韓国国内では、AIエンターテインメントコンテンツプラットフォーム「Crack(クラック)」を運営中。代表の李世榮氏は、創業から5年で韓国を代表するAIサービス企業の地位を確立した結果としての調達だとコメントしています。
日本市場での動きも、この文脈に置くと筋が通ります。汎用AIチャットの消耗戦から降りて、AIエンタメに資源を集中させました。国をまたいで同じ判断をしているわけです。
年齢制限と安全対策はどうなっている?
キャラぷのApp Storeでの対象年齢は16+です。恋愛シナリオを含むため、子ども向けではありません。
韓国のCrackについて、同社は青少年ユーザー比率が約10%であることを公表し、保護方針の強化を準備中だとしています(2026年8月時点)。検討中の内容は次の3点です。
- 利用時間の上限設定
- 保護者同意手続きの強化
- 決済額上限の引き下げ
決済額上限に踏み込んでいる点は評価できます。従量課金のキャラチャットで最も怖いのは、未成年が無自覚に使い込むこと。原因の側を絞りにいっています。
日本のキャラぷに同じ仕組みが入るかは、2026年9月時点で明示されていません。家庭で使う場合は、端末側の課金制限をかけておくのが確実です。
キャラぷが向いている人・向いていない人
判断材料を先に置きます。
向いている人
- 推しキャラとの会話や、分岐する物語そのものを楽しみたい
- 自分でキャラや世界観を作って公開したい
- 月数千円までなら遊びに使ってよいと決められる
向いていない人
- 仕事の文章作成やリサーチをAIに任せたい
- 定額で使い放題でないと落ち着かない
- 15歳以下、または課金管理を自分でできない年齢
旧リートンを「無料の汎用AI」として使っていた人は、そのまま後者です。悪いサービスに変わったのではなく、対象が入れ替わっただけ。
キャラチャット系を横並びで比べたい人はAIキャラチャットのカテゴリから見るのが手っ取り早いです。
無料AIツールを業務に据えるときの見極め方
今回の件は、無料AIツールとの付き合い方の教材でもあります。同じことは他のツールでも起きます。
チェックすべきは4点です。
- 収益の出どころが説明できるか。広告も課金も見えないサービスは、いつか形を変えます
- データの持ち出し口があるか。会話履歴や生成物をエクスポートできるかを、使い始める前に確認する
- 運営の主戦場はどこか。日本が主要市場でないなら、日本版だけ畳まれる可能性がある
- 代替が1日で用意できるか。同種のツールが3つ以上あるなら、依存しても致命傷にならない
業務のワークフローにAIを組み込むなら、動きを記録して後から追える状態にしておくのが保険になります。AIの入出力を記録・可視化する仕組みはLangfuseの導入ガイドが実例として分かりやすいです。自社データを整えて使う段階まで進むなら、Label Studioでのデータ整備も併せて見ておくと、ツール1つに依存しない形が作れます。
AI PICKS編集部の判定
汎用AIチャットとしてのリートンを探している人には、正直イマイチという結論になります。日本版wrtnは2025年9月末で止まっており、探しているものはもう存在しません。無料で高性能モデルを回せた時期は終わりました。素直にChatGPTやGeminiの無料枠へ移るのが一択です。
一方で、AIキャラチャットとしてのキャラぷは筋が通っています。ローンチ3ヶ月で累計40万体を超えるキャラが作られ、韓国本体は2026年8月に約115億円を調達しています。撤退ではなく、勝てる場所への集中です。
引っかかるのは料金設計。通常パックは200ゴールドでも10,000ゴールドでも1ゴールド1.40円で、まとめ買いの旨みがありません。割安なのは初回購入限定の2種類だけ。定額制がないため、遊ぶほど青天井になります。パワーチャットで1日20往復すると月2,500円前後。この試算を先に自分でやってから始めるべきでしょう。
推しキャラと物語を紡ぐ目的なら重宝します。仕事の道具としては対象外。ここを混ぜないことが、後悔しない使い方です。
あわせて見たいツール・カテゴリ
- キャラぷ:旧リートンの移行先。料金と機能の一次情報はここから
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- AIキャラチャットのカテゴリ:主要サービスを条件で絞り込める
- AIキャラチャットの評価一覧:スコアと料金を横並びで確認
- AIチャットボットのカテゴリ:汎用AIチャットへの乗り換え先を探すならこちら
よくある質問(FAQ)
Q. リートン(wrtn)はもう使えないのですか?
日本向けのAIチャット「wrtn」は2025年9月末で停止しました。Webアクセスは自動的にキャラぷへリダイレクトされ、旧アプリは利用できません。
Q. 保存していたデータやAIキャラはどうなりましたか?
公式Xの告知では、アカウントやキャラなどのデータは自動でキャラぷへ引き継がれるとされています。ログインして確認するのが確実です。
Q. キャラぷは無料で遊べますか?
アプリのダウンロードと閲覧は無料です。会員登録の時点で320ゴールドが配られ、ログインボーナスもあります。ただしチャットのたびにゴールドを消費するため、継続して遊ぶなら課金が前提です。パワーチャットで1回約4.2円という計算になります。
Q. 定額で使い放題のプランはありますか?
2026年9月時点で確認できるのはゴールドの都度購入のみです。初回購入限定のパックだけ単価が約1円まで下がりますが、それ以外に定額の抜け道はありません。使った分だけ払う形なので、上限を決めたい人は自分で管理する必要があります。
Q. 何歳から使えますか?
App Storeの対象年齢は16+です。恋愛シナリオを含むため、未成年が使う場合は端末側の課金制限をかけておくことをおすすめします。
Q. 旧リートンのように無料で文章生成に使えるAIはありますか?
ChatGPTやGeminiの無料枠が現実的な代替です。リートン全盛期と比べても、いまの主要AIチャットの無料枠は狭くありません。
Q. 会社そのものが経営難なのですか?
逆です。リートンテクノロジーズは2026年8月にシリーズCで総額1,000億ウォン(約115億円)を調達したと公表しています。汎用AIチャットから撤退してAIエンタメに集中した、という位置づけです。
Q. 韓国の「Crack」は日本から使えますか?
Crackは韓国向けのAIエンターテインメントコンテンツプラットフォームで、日本市場向けの入り口はキャラぷです。日本語で遊ぶならキャラぷを選ぶことになります。
キャラぷを実際に触ってみるか迷っているなら、料金の考え方だけ先に押さえておくと失敗しません。キャラぷのゴールド料金の詳細を読んでから始めると、想定外の課金を避けられます。
各ツールの公式サイト(一次情報)
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