PTAの役員会で「来年度の運営を見直したい」と言われ、気づけば資料づくりを任されていました。パート先で改善案を出すよう頼まれたけれど、パワーポイントを開いた画面が真っ白のまま止まっています。この状況で必要なのは、資料作成をまるごと自動化することではありません。手が止まる部分だけをAIに渡すことです。
止まるのはたいてい2か所。何を根拠に言うかを調べる場面と、話の順番を決める場面。ここを埋めれば、あとは自分の言葉を足すだけの作業になります。
提案資料づくりで、AIに任せられるのはどこまで?

任せられるのは調べものと構成案、そしてスライドの下地までです。誰に何を通したいかという判断は、AIには決められません。
工程を分けると、どこで詰まっているのかがはっきりします。資料が書けない人の多くは、実は書けないのではなく「何を言えば通るのか決まっていない」だけ。ここをAIとの往復で先に固めます。
以下は、提案資料を4つの工程に分けたときの担当の目安です。
| 工程 | 具体的な作業 | AIの担当度 | 自分がやること |
|---|---|---|---|
| 調べる | 現状の数字、他所の事例、制度の確認 | 高い | 出てきた情報の裏取り |
| 骨組みを作る | 課題→原因→提案→費用→次の一歩の順番決め | 高い | 相手が気にする点の追加 |
| スライドにする | 見出し、図、色、レイアウト | 中くらい | 文字量を減らす判断 |
| 通す | 質問への返し、条件の調整 | 低い | 全部 |
つまり、AIに投げて効果が出るのは前半2工程で、後半は人の仕事のままということです。
この分け方が決まると、必要なツールの数も自然に絞れます。
提案資料AIとは何か。使われる場面は4つ

提案資料AIとは、文章の骨組みづくりやスライドの下地作成を自動でこなすAIツールのことです。白紙から書き始める負担をなくすのが役目。
家庭を持つ人が資料を求められる場面は、だいたい次の4つに集約されます。自分がどれに当てはまるかで、選ぶツールが変わります。
| 場面 | 相手 | 求められる資料 | 重視される点 |
|---|---|---|---|
| 学校・PTA | 役員、先生、保護者全体 | A4数枚の議案書、配布用の説明資料 | 印刷して読める文字量 |
| 地域活動・自治会 | 世代の幅が広い住民 | 回覧できる案内、予算の説明 | 図が多く、専門用語が少ない |
| パート先での改善提案 | 店長、上長 | 現状と改善案を並べた1〜2枚 | 数字の根拠 |
| 副業・ハンドメイド販売 | 取引先、出店先 | 商品や自分を売り込む資料 | 見た目の完成度 |
つまり、印刷前提の場面ではデザインより文字量の管理が効き、売り込みの場面では見た目が結果を左右するということです。
読み手が変われば、同じ内容でも並べる順番が変わります。そこを決めるのが次の話です。
月3,000円以下に収める3つの組み方
結論は先に出しておきます。契約するのは1本だけ。これを守れば予算内に収まります。
複数のツールを試したくなる気持ちは分かりますが、月額課金は積み上がると効きます。無料枠で足りる工程に、わざわざお金を払わないこと。
| 組み方 | 中身 | 月額の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 無料完結型 | 調べものと構成を無料のAIチャットで、スライドは無料のデザインツールで | 0円 | 年に1〜2回しか資料を作らない人 |
| 1本課金型 | よく使う工程のツールだけ有料に。他は無料枠のまま | 3,000円以内に収まる範囲 | 月1回以上、資料を任される人 |
| 都度課金型 | 必要な月だけ有料にして、終わったら解約 | 使った月のみ | 年度末や総会前など時期が偏る人 |
つまり、頻度が低いなら無料完結型で十分で、常時契約が要るのは月1回以上作る人だけということです。
都度課金型は見落とされがちですが、実質いちばん賢い選び方。年に2回の総会シーズンだけ有料にして、終わったら止めます。それだけで年間の支出は数千円で済みます。
なお料金プランは改定が続く分野です。日本円での請求額は為替でも動くため、契約前に各社の公式料金ページを見るのが前提になります。
どのAIを選べばいい?用途別の5つの選択肢
選び方の軸は「デザインで詰まるのか、文章で詰まるのか」です。ここを取り違えると、契約したのに使わないツールが増えます。
次の表は、工程ごとの得意分野で5つを並べたものです。順位ではなく用途で見てください。
| ツール | 無料で使えるか | いちばん効く工程 | スライドの書き出し | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| Canva | 無料プランあり | スライドにする | できる | 見た目が結果を左右する売り込み資料 |
| Notion AI | 無料プランあり(高度な機能に制限) | 骨組みを作る、要約 | 直接は不向き | 議案書やA4の文書資料 |
| Perplexity | 無料プランあり | 調べる、根拠集め | できない | 数字の裏取りが必要な改善提案 |
| Beautiful.ai | 無料トライアル中心 | 体裁を整える | できる | レイアウト崩れを避けたい配布資料 |
| Manus | 無料プランあり(クレジット制) | 調べるから作るまで通し | できる | 時間がなく、下書きごと任せたい場合 |
つまり、文章で詰まるならNotion AIとPerplexity、見た目で詰まるならCanvaとBeautiful.ai、時間そのものが無いならManusという分かれ方です。
ここから1本ずつ、どんな人に向くかを見ていきます。
デザインで止まらないならCanva
白いスライドに文字が並んだ瞬間にやる気が消えます。これに心当たりがあるなら、Canvaから入るのが早いです。
プレゼンテーションの作成画面に、AIで作る導線が用意されています。作りたい資料の内容を日本語で入れるだけ。出てきた後に見た目を調整しやすいのが、この手のツールの中では強みです。
指示の出し方は具体的なほど結果が変わります。「新サービスの営業提案資料を作ってください。相手は中小企業の管理部門です。課題は会議後の記録作成に時間がかかること、担当者ごとに記録の粒度がばらつくこと」。ここまで書くと、下地の精度が一段変わります。
無料プランでも資料は作れます。テンプレートや素材の一部が有料枠になっている構成なので、印刷用の凝った資料を毎月作るなら課金を検討する、くらいの距離感で十分。
図やイラストを自分好みに足したくなったら、AIイラスト生成ツールの比較記事を先に読むと、素材集めで迷う時間が減ります。
デザインは片づいても、話の中身が薄いと通りません。そこを埋めるのが次のツールです。
文章の骨組みを立てるならNotion AI
議案書や説明文など、スライドではなく文書の形で出す資料。ここはNotion AIの領域です。
長い資料の要約、提案書の構成案づくり、翻訳。この3つが軸で、書きながら整理する使い方に向いています。前年度の議事録を貼り付けて「来年度の議案書のたたき台にして」と頼みます。この使い方が地味に効きます。
無料プランはありますが、高度な機能には制限がかかる形です。有料プランは人数ごとの月額という考え方なので、個人で1人分だけ使う前提なら予算の見通しは立てやすいはず。
壁打ち相手としての価値も無視できません。「この提案、役員会で反対されるとしたらどこですか」と聞くと、想定質問が出てきます。準備が要るのは資料より質疑応答のほうだったりしますよね。
ただし、Notion AIが出す数字には注意が必要です。もっともらしい嘘(AIがそれっぽい作り話をすること)は、この種のツール全般に起こります。
調べものと根拠集めならPerplexity
「うちの店では作業に時間がかかっている」だけでは提案は通りません。何と比べて、どのくらい遅いのか。この材料を集めるのがPerplexityです。
無料プランがあり、調査・比較・根拠集め・下書きの補助に向きます。一方で、スライドそのものを作るツールではありません。ここを期待して使うと肩透かしになります。
使い方はシンプル。「学童保育の待機児童数の推移を、公的な統計から教えて」のように、出どころを指定して聞きます。回答に付いた参照元をたどって、元の資料を自分の目で見ます。この一手間を省かないこと。
日本語での調べものに強い選択肢として、Feloの使い方をまとめた記事も参考になります。国内の情報を集める場面では、こちらのほうが手数が少なく済むこともあります。
ここまでの整理: 調べるのはPerplexity、骨組みはNotion AI、見た目はCanva。3つとも無料枠があるので、この組み合わせなら月0円で1本仕上がります。課金の判断は、この型で一度作ってからで遅くありません。
体裁を崩したくないならBeautiful.aiとManus
配布して印刷される資料で、レイアウトが崩れるのは避けたい。Beautiful.aiは自動レイアウトでデザインの崩れを防ぐ方向のツールです。
ただし、継続して使える無料枠は用意されていません(2026年8月時点)。トライアルで試して、合わなければ止める前提で触るのが現実的。デザインの心得がなくても整った体裁になる点に、月額を払う価値があるかで判断してください。
Manusは毛色が違います。クラウド側で作業が進むため、パソコンを閉じても処理が続くのが特徴。寝る前に「来週の総会で使う比較資料をまとめておいて」と頼み、朝に確認する使い方ができます。
料金はクレジット制で、タスクの複雑さに応じて消費される仕組みです。無料プランでも日次でクレジットが配られるため、スライド1本を試すくらいなら費用をかけずに感触をつかめます。
時間そのものが足りない人には、この形がいちばん噛み合います。夜のうちに投げて、朝に直します。それだけ。
AIへの指示文はどう書けばいい?
指示文(AIへの指示のこと)は、5つの要素を埋めるだけで十分です。文章のうまさは関係ありません。
埋めるのは、相手・目的・課題・制約・出力形式の5つ。このうち抜けやすいのが制約と出力形式です。
- 相手: 誰が読むか(PTA役員、店長、取引先の担当者)
- 課題: いま何が困っているか。3つまで箇条書きで
- 制約: 予算、人数、期限など動かせない条件
- 出力形式: A4で2枚、スライド8枚、見出しは全角20字以内など
出力形式を指定しないと、たいてい文字が多すぎる資料が返ってきます。「1枚あたりの文字は120字以内」と足すだけで、読める資料に近づきます。
うまくいかないときは、悪い例を見せるのが早いです。「この書き方だと固すぎます。保護者向けなので、専門用語を使わずに書き直して」。この往復を2〜3回。それで形になります。
指示が通じるようになると、次は中身の検品が課題になります。
AIが出した数字はどこまで信じていい?
そのままでは信じられません。数字と固有名詞、この2つは必ず公式サイトで確認してから資料に載せてください。
AIは知らないことを「知らない」と言わずに、それらしい形で埋めることがあります。統計の年度がずれている、制度名が微妙に違う、金額が旧料金のまま。この3つが定番の落とし穴です。
確認の順番はこうです。数字なら発表元の公的機関のページ、料金なら提供元の公式料金ページ、制度なら所管の官公庁。ニュースサイトやまとめ記事で止めないこと。二次情報の孫引きは、間違いをそのまま引き継ぎます。
裏取りの手数を減らしたいなら、調べもの側の道具を強くするのが早いです。主婦・主夫のリサーチAIの比較記事に、出典を確かめながら使えるツールをまとめてあります。
ひとつだけ守るなら、これ。自分が説明できない数字は資料に載せない。質疑で聞かれて答えられなければ、その1点で提案全体の信用が落ちます。
家族と共用のパソコンで使うときの注意
共用のパソコンでAIを使うなら、入力していい情報の線引きを先に決めてください。ここは軽く扱うと後で痛い目を見ます。
入れてはいけないのは、他人の個人情報です。児童の名簿、保護者の連絡先、パート先の社外秘の数字、取引先の見積書。これらをそのまま貼り付けるのは避けます。
代わりに、匿名化して渡します。「30人の児童」「A社」「月額X円」のように置き換えれば、構成案づくりには支障がありません。固有名詞は自分の手で戻せばいいだけ。
ログイン状態のまま家族が触る点にも注意が必要です。会話の履歴は残ります。共用機なら、使い終わったらログアウトする習慣を付けておくと安全側に倒せます。
資料づくり以外の家事・仕事まわりでAIに任せられる範囲を知りたいなら、主婦・主夫の自動化AIの記事で全体像を掴んでおくと、道具選びの迷いが減ります。
AI PICKS編集部の判定
年に数回しか資料を作らない人が、いきなり有料プランを契約するのは正直イマイチです。無料枠だけで組む型を一度通してみてください。Perplexityで根拠を集め、Notion AIで骨組みを作り、Canvaでスライドにします。この3点セットは月0円で回り、それで足りるケースが実際に多いです。
その上で、課金するなら1本に絞ります。ここは譲らないほうがいいです。見た目で毎回止まるならデザイン側に、調べものと下書きに時間を取られるならManusのような通しで動く側に。自分がどこで止まっているかを2〜3本作って見極めてから決めれば、月3,000円の枠内で収まります。
逆に、複数ツールを同時契約するのは避けてください。使わないまま課金が続くのが、この分野でいちばん多い失敗です。
主婦・主夫のAI活用で効くのは、高機能なツールを揃えることではありません。白紙の画面と向き合う時間を消すこと。その一点だけなら、無料枠でも十分に戦えます。ツール選びに1時間かける前に、まず1本作ってみるのが結論です。
よくある質問(FAQ)
Q. スマホだけで提案資料は作れますか?
下書きまでは作れます。調べものと構成案づくりはスマホで完結しますし、Canvaのようなデザインツールはアプリでも編集できます。ただし、文字の位置調整や印刷用の書き出しはPCのほうが確実。スキマ時間にスマホで下地を作り、仕上げだけPCという分担が現実的です。
Q. パソコンが苦手でも使えますか?
日本語の箇条書きが打てれば使えます。操作の中心は「作りたい内容を文章で入れる」だけで、ソフトの機能を覚える必要はほとんどありません。詰まるとすれば操作ではなく、AIに何を伝えるかの部分です。相手・課題・制約の3つを書くところから始めてください。
Q. 無料プランだけで本当に足りますか?
年に数回の資料なら足ります。Perplexity、Notion AI、Canvaはいずれも無料プランがあり、この3つで調べる・組み立てる・形にするが揃うためです。足りなくなるのは、毎月のように資料を作る場合や、印刷品質の素材が必要になった場合。その段階で初めて課金を考えれば十分です。
Q. AIで作ったと分かると印象が悪くなりませんか?
出てきたものをそのまま出せば分かります。AIの下書きは文章が均一で、どの資料も似た構成になるためです。自分の言葉で書き直した1段落と、自分で確かめた数字を入れれば印象は変わります。下書きは下書きとして扱うこと。
Q. 副業の営業資料に使っても問題ありませんか?
商用利用の可否はプランごとに条件が異なります。特にデザインテンプレートや素材には、利用範囲の決まりがある場合があるため、収益に直結する資料で使うなら公式の利用規約を確認してください。文章の構成案づくりに使う分には、問題になりにくい領域です。
Q. どのくらいの時間で1本仕上がりますか?
工程を分けているかどうかで変わります。調べものと構成が固まっていれば、スライド化はAIの下地に手を入れるだけで済みます。逆に、何を言うかが決まっていない状態でAIに投げると、出てきた資料を全部書き直すことになり、かえって時間がかかります。
Q. 資料に載せる図やイラストはどうすればいいですか?
まずは使用中のツールに入っている素材で足りるか確認してください。それでも合うものがなければ生成AIで作る手もありますが、資料のためだけに画像生成の環境を組み込むのは過剰です。図解の多い売り込み資料を数多く作る段階に来たら、個人事業主の提案資料AIの記事で紹介している組み方のほうが現実的です。
あわせて見たいツール・カテゴリ
資料づくりの周辺で、次に見ておくと選択肢が広がるものを挙げます。
- Gamma:文章を入れるとスライドの形に整えるタイプ。Canvaと迷ったら両方の無料枠を触って決めるのが早いです
- Napkin AI:文章から図解を起こす方向のツール。文字ばかりの資料に図が1枚欲しいときに
- イルシル:日本語のスライド生成を軸にした国産の選択肢。日本語の文字組みが気になる人向け
- AI生産性向上ツールのカテゴリ:資料作成以外の家事・仕事の時短ツールをまとめて見たいとき
- AIライティングツールのランキング:文章そのものを書く工程で詰まるなら、こちら側から選ぶ手もあります
- AIリサーチツールのカテゴリ:調べものの精度を上げたい人向け。Perplexity以外の選択肢が並びます
- AIデザインツールのランキング:見た目の完成度を優先する売り込み資料を作る場合に
次に読むなら、調べもの工程を日本語で強化できるFeloの使い方記事を勧めます。根拠集めが速くなると、資料づくり全体の所要時間がいちばん素直に縮むからです。
各ツールの公式サイト(一次情報)
料金・機能・対応範囲は各社公式が一次情報です。本記事は公開時点の検証に基づきますが、最新かつ正確な条件は必ず各公式ページで確認してください。
- Canva AI:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Notion AI:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Perplexity:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Beautiful.ai:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Manus:公式サイト(AI PICKSの詳細)




