n8nとは、業務アプリ、データベース、AIモデルをつないでワークフローを構築・実行できるAI自動化プラットフォームです。
ワークフロー自動化を本気で導入するとき、最後まで残る二択がn8nとMakeです。Zapierより安く、複雑な分岐にも耐えます。ここまでは両者とも同じ土俵に立ちます。
違いは「どこで動くか」と「何で課金されるか」に集約されます。ここを外すと、後から料金で痛い目を見ます。
この記事は機能の羅列ではなく、実際に運用したときに効いてくる差だけを並べました。読み終えたとき、自分の用途でどちらを選ぶべきかが明確になっているはずです。
結論: n8nとMakeはどちらを選ぶべきか

セルフホストで顧客データや実行ログを社外に出したくない開発者・情シスは n8n 一択。SaaSのキャンバスUIで担当者本人が複雑なシナリオを最短で組みたいマーケ・運用チームは Make が圧倒的に立ち上がりが速いです。
n8nは「自前で持つ自由」、Makeは「持たない手軽さ」。この性格の違いがすべての判断軸の根っこにあります。
長い処理や大量実行を回すなら、実行単位で課金されるn8nが効きます。逆に、繋ぐアプリの数が多くて1本あたりは軽い処理ならMakeが向きます。
料金体系: 同じ$10台でも課金単位が真逆

両者とも有料プランは月$10台から始まるが、何を1カウントとするかが正反対です。下の表で課金の考え方を押さえてほしいです。
| 項目 | n8n | Make |
|---|---|---|
| 提供形態 | セルフホスト(Docker/npm)またはクラウド | クラウドのみ(SaaS) |
| 課金単位 | ワークフロー1実行=1カウント | クレジット(旧オペレーション、処理ステップごと) |
| 無料枠 | セルフホストは無制限・無料 / クラウドは試用 | 月1,000オペレーション |
| 有料の起点 | クラウド月€20〜(約2,500実行) | 月$10.59前後〜 |
| 課金の伸び方 | 実行回数に比例(ステップ数は不問) | 処理ステップ数に比例 |
ここが最大の分かれ目です。n8nはワークフローが何ステップあっても「1回動いたら1カウント」。20個のノードを通っても1実行です。
Makeは1シナリオの中で動いたステップ(モジュール)ごとにクレジットを消費します。10ステップ動けば10カウントに近いです。
つまり長くて重いワークフローほどn8nが安く、短くてシンプルな連携を数多く回すならMakeが読みやすい。自分の処理が「縦に長い」のか「横に広い」のかで損益分岐点が変わります。
見落としがちな罠: Makeの2025年8月課金変更

2025年8月、Makeは「オペレーション」を「クレジット」へ改名しました。単なる呼び名の変更ではありません。AI関連モジュールの消費量が固定ではなく変動制になりました。
LLM呼び出しのように出力が長くなりやすい処理は、想定よりクレジットを食います。月初に立てた見積もりが月末にズレる、という事態が起きえます。
n8nはこの点でシンプルです。AIノードを何回叩こうが、ワークフロー全体で1実行は1実行。コスト予測が立てやすいです。
AIエージェントを業務に組み込んでヘビーに回す前提なら、課金の予測可能性という一点だけでn8nに分があります。
セルフホストvsクラウド: データ主権で決まる

n8nは自分のサーバーにDockerで立てられます。実行環境もデータの通り道も、すべて自社の管理下に置けます。これがMakeには絶対にできない決定的な差です。
Makeはクラウド専業のSaaS。実行基盤はMake側にあり、データは一度Makeのインフラを通ります。手軽な反面、データの所在を自社で完全制御することはできません。
| 観点 | n8n | Make |
|---|---|---|
| データの所在 | 自社サーバーに完結可能 | Make側インフラを経由 |
| GDPR/データレジデンシー | 自前で要件を満たせる | 提供側のポリシーに依存 |
| インフラ管理の手間 | 自社で運用が必要 | 不要(フルマネージド) |
| カスタマイズ自由度 | ソース改造・独自ノード可 | 提供機能の範囲内 |
顧客の個人情報や社内の機密データを跨ぐ基幹自動化では、この差が効きます。EUのGDPRや業界規制でデータの保管場所が問われる場面では、n8nのセルフホストが現実的な解になります。
逆に「インフラ運用の人手をかけたくない」「サーバー管理は誰もできない」なら、Makeのフルマネージドが正解です。自前運用はゼロコストではなく、保守の手間という見えないコストがかかります。
連携数と拡張性: カタログの広さか、踏み込む深さか
繋げるサービスの数ではMakeが圧倒します。3,000以上のアプリ連携を持ち、メジャーなSaaSはほぼ標準で揃います。
n8nは400以上の連携。数では負けるが、HTTPノードと独自コード実行で、既製ノードにないAPIにも自力で踏み込めます。
連携の思想の違い
Make → 用意された3,000+のブロックから選んで組む(広く浅く繋ぐ)
n8n → 400+のノード+コードで何にでも繋ぐ(狭くても深く踏み込む)
業界固有の社内システムや、まだコネクタが存在しないニッチなAPIを叩く必要があるなら、n8nのコード差し込みが効きます。一方、ShopifyやStripe、Slack、Notionといった定番SaaSを繋ぐだけなら、Makeの標準コネクタで十分すぎます。
Zapierから移行を検討している場合も、この2本は有力な乗り換え先になる。Zapierより料金が読みやすく、複雑な分岐にも対応できるからだ。
学習コストとUI: 誰が組むのか
MakeはノーコードのキャンバスUIが強みです。トリガーからアクション、条件分岐、ループまでを視覚的に配置できます。ステップごとの実行結果も画面で確認でき、デバッグが直感的です。
非エンジニアの運用担当者でも、最初のシナリオを当日中に動かせます。これがMakeの最大の魅力で、no-codeの入り口としては最もなだらかです。
n8nはノード型のワークフローで、考え方はMakeとよくなじむがUIはやや骨太です。セルフホストする場合はサーバーの初期構築という技術的なハードルが先に立ちます。
| 観点 | n8n | Make |
|---|---|---|
| 主な利用者 | 開発者・情シス | マーケ・運用担当 |
| 初期セットアップ | 技術知識が必要(自前運用時) | アカウント登録のみ |
| UIの直感性 | ノード型・やや複雑 | キャンバス型・直感的 |
| 高度フローの組みやすさ | コードで自由度が高い | 視覚的だが学習コストあり |
要は「誰がこれを組み、誰が保守するのか」です。エンジニアが主体ならn8nの自由度が活き、ビジネス担当者主体ならMakeの分かりやすさが活きます。
AI連携: エージェント中核ならn8n、要約差し込みならMake
LLMを業務に組み込む使い方が、いまや自動化ツール選びの主戦場になっています。ここでも性格が分かれます。
n8nはAI Agent統合を備え、OpenAIやAnthropicのモデル接続を自前で管理できます。プロンプト・モデル・データ保持ポリシーまで自社制御したい、AIを業務プロセスの中核に据える用途で強いです。
Makeは400以上のAIアプリ連携を持ち、既存シナリオにAIによる要約・分類を差し込むのが得意です。「社内外のデータをAIでさっと処理して既存フローに流す」程度なら立ち上げが速いです。
ただし前述のとおり、MakeのAIモジュールは変動クレジット課金です。ヘビーに回すほどコストが読みにくくなります。AIをガンガン叩く設計なら、実行単位課金のn8nのほうが財布に優しいです。
用途別の選び方
社内システムと外部APIを横断する基幹自動化 顧客DB・社内ERP・AIモデルを跨ぐ処理を、データを外に出さずに動かしたいならn8n。セルフホストで実行ログとデータ経路を自社完結でき、HTTPノードや独自コードで業界固有APIにも踏み込めます。情シス管理下の運用が前提なら最有力です。
マーケ・営業のアプリ間連携を素早く立ち上げる CRM、広告管理、フォーム、Slack、スプレッドシートなどSaaSが主戦場ならMake。3,000超の連携とキャンバスUIで、トリガー設計から条件分岐まで担当者本人が組めます。ステップ別の実行確認が日々のデバッグで効きます。
AIエージェントを業務プロセスに組み込む LLM呼び出しから業務システムへの書き戻しまでを自社制御したいならn8n。コストの予測可能性とデータ主権の両方で有利です。逆に既存ワークフローにAI処理を軽く差し込む程度ならMakeが早いです。
コストをとにかく抑えたい / 大量実行を回す セルフホストで運用できる技術力があるなら、n8nの自前運用がインフラ費用だけで済みます。長くて重いワークフローを大量に回すほど、実行単位課金が効いてきます。
n8nを選ぶべきケース / Makeを選ぶべきケース
n8nを選ぶべきケース
- セルフホストでデータの所在と実行環境を社内に置きたい
- 独自コードやHTTPで既製ノードにないAPIを叩く必要がある
- AIエージェントを中核に据え、コストを予測可能に保ちたい
- 長くて重いワークフローを大量に回す
Makeを選ぶべきケース
- ノーコードで担当者自身がシナリオを組みたい
- SaaS中心の業務で、3,000超の連携から素早く繋ぎたい
- インフラ運用の人手をかけたくない
- Zapierの料金や複雑フロー対応に限界を感じている
編集部の評価
率直に言って、この2本に優劣はつきません。性格が真逆だからです。どちらが優れているかではなく、自分の組織がどちらの「面倒」を引き受けられるかで決まります。
n8nはセルフホストという最強の武器を持つが、サーバー運用の手間は自分で背負います。データ主権とコストの予測可能性は破格だが、エンジニア不在の組織には荷が重いです。AIをヘビーに使う前提なら、実行単位課金は圧倒的に有利です。
Makeはノーコードの入り口としては一択級の手軽さ。3,000超の連携カタログも重宝します。ただし2025年8月のクレジット変更で、AI処理のコスト予測は正直やりにくくなりました。ステップ課金なので、複雑で長いフローを多用すると料金が膨らむ点は覚悟がいます。
迷っているなら、まず無料枠で両方を触るのが最短です。Makeの月1,000オペレーション無料枠で手触りを掴み、n8nはローカルにDockerで立てて実行単位の感覚を確かめます。1週間も触れば、自分の用途がどちらに寄っているか体感で分かります。
なお料金とプラン構成は変動が早いです。導入前に必ず両社の公式ページで最新の数字を確認してほしいです。
よくある質問(FAQ)
Q. n8nとMake、料金が安いのはどっち?
処理の形によります。長くて重いワークフローを回すならn8n(実行単位課金)が安いです。短い連携を数多く回すならMakeも競争力があります。セルフホストできるならn8nはインフラ費用のみで運用でき、最安になりえます。
Q. Makeの「クレジット」と「オペレーション」は何が違う?
2025年8月の改名で呼称が変わりました。実務上の最大の変化はAIモジュールが固定消費から変動消費になった点です。AI処理を多用すると消費量が読みにくくなるため、見積もりは余裕をもって組むべきです。
Q. プログラミング知識がなくても使える?
Makeはノーコードで非エンジニアでも当日から組めます。n8nもノード型UIで基本操作は可能だが、セルフホストの初期構築や高度なフローには技術知識が要ります。担当者主体ならMake、開発者主体ならn8nが向きます。
Q. ZapierからどちらにETすべき?
複雑な分岐や料金を理由に移るなら、SaaS中心の運用はMake、自前運用やコード拡張が必要ならn8n。どちらもZapierより複雑フローに強く、料金が読みやすいです。
Q. GDPRなどデータ規制が厳しい場合は?
n8nのセルフホストが現実的です。データを自社サーバーに完結させられるため、データレジデンシー要件を自前で満たせます。Makeはクラウド専業のため、提供側のポリシーに依存します。
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