イルシルとは、テキストを入力するだけでAIがスライドの構成・レイアウト・配色まで組み立てる日本製の資料作成ツールです。料金は無料プランが0円、個人向けのパーソナルプランが月1,848円(税込)、1年契約なら17,160円で1日あたり約47円になります。
明日の朝イチで提案書30枚。話す中身はもう頭の中にあるのに、パワーポイントの白い画面の前で手が止まります。フォントを揃え、図の位置を直し、また崩れます。
削られているのは考える時間ではありません。整える時間です。
イルシルは、その「整える時間」を丸ごと肩代わりするために作られています。
先に立場を決めておきます。日本語の社内資料を週に何本も作る人なら、年17,160円は回収できます。 ただし、ブランドガイドラインを厳密に運用する制作の現場では一択にはなりません。この線引きが掴めれば、必要かどうかは5分で決まります。
イルシルとは?日本語を前提に設計された国産AIスライド
イルシルは、キーワードや下書きの文章を渡すと、AIが見出しの流れ・図の配置・配色をまとめて組み立てる日本製のスライド作成ツールです。ゼロから描く道具ではなく、AIの下書きを人が仕上げる道具、と捉えると位置づけがはっきりします。

海外製のスライドAIは英語を前提に組まれたものが多く、日本語を流し込むと細かい粗が出ます。行末の折り返しが変な位置に来ます。句読点が行頭に落ちます。見出しだけフォントの顔つきが違います。
ひとつずつは小さな傷です。でも30枚分たまると、結局は全部手で直すことになります。
イルシルは最初から日本語の文章を前提に設計されています。ここが「国産」であることの実利です。
運営するのは株式会社イルシル(東京都渋谷区、代表・宮﨑有貴、資本金5,190万円)。2025年7月2日には法人プランの提供を開始し、2026年3月5日にはパーソナルプラスプランの無料トライアルを始めています。プレスリリースが継続的に出ている、更新の止まっていないサービスです。
想定される使い手は、営業・企画・研修・広報のように資料を数多く作る立場の人。白紙のスライドと睨み合う代わりに、下書きを渡して形にしてもらいます。仕事の順番が入れ替わります。
機能や更新情報はイルシルのツールページにまとめてあります。似た系統の製品を横並びで見たいならAI生産性・ノートのカテゴリから辿ると早いです。資料に載せる図版をAIで作る工程まで含めて考えるならAI画像生成のカテゴリも合わせてどうぞ。
正体がわかったところで、肝心の金額を詰めます。
料金プランはいくら?無料から法人まで4階層
イルシルの料金は、フリー・パーソナル・パーソナルプラス・法人(ビジネス)の4階層です。分かれ目は金額ではなく「作ったものを外に出せるかどうか」にあります。

2026年8月時点の公式サイト表示から、判断に必要な列だけを抜き出しました。
| プラン | 料金(税込) | 向いている人 | 契約前に見る点 |
|---|---|---|---|
| フリー | 0円 | 生成品質だけ確かめたい人 | PDF・PPTXへの書き出し不可、作成できる資料は3個まで |
| パーソナル | 1か月契約は月1,848円/6か月契約は9,900円(月1,650円相当)/1年契約は17,160円(月1,430円相当) | 個人・フリーランス | 同じ内容で、契約期間が長いほど月単価が下がる |
| パーソナルプラス | 月5,500円(年間契約) | 資料を量産する人 | 生成枠が個人向けの数倍。2026年3月5日から無料トライアルあり |
| 法人(ビジネス) | 要問い合わせ | チーム利用 | 自社テンプレート登録・フォルダ管理・サポートが付く |
つまり、0円で品質を見る → 有料プランのトライアルで実務に耐えるか試す → 続けるなら月1,848円という三段構えです。
ここで多くの人が転ぶのがフリープランの制限。資料そのものは作れますが、PDFやパワーポイントに書き出せません。作成できる資料も3個までです。「作ったものを社内で配れるか」まで確かめたいなら、フリーではなく有料プランのトライアルを踏む必要があります。
もうひとつ、フリーとパーソナルではAIに渡せる文字数が違います。構成生成に入力できるのはフリーが1,600文字、パーソナルが3,000文字。長い企画書の全文を貼って一気に構成させたいなら、この差は地味に効きます。
そして無料トライアル。公式リリースによれば有料プランのトライアルは3日間で、期間内に解約しないと自動で本契約に切り替わります。申し込んだその日に、解約期限をカレンダーへ入れてください。 これだけで事故が消えます。
なお料金と生成回数の上限は改定されることがあります。この記事の数字は判断の目安であって、契約条件そのものではありません。最終確認は必ず申し込み画面で。プラン表記の更新はイルシルのツールページでも追えます。
月額の感覚はつかめました。では年で見るとどうか。
年17,160円は高いのか|1日47円と外注費を並べる
パーソナルの1年契約は17,160円(税込)。日割りにすると1日あたり約47円です。月払いを12か月続けた場合は22,176円、1日あたり約61円になります。年払いと月払いの差は5,016円。

高いか安いかは、金額単体では決まりません。同じ仕事を別の方法でやったらいくらか、と並べて初めて見えます。
- 外注する場合:デザイン込みの資料制作は1件で数万円が相場。年に1件分の外注をやめれば年額は回収できる
- 自分でやる場合:時給3,000円換算なら年17,160円は約5.7時間ぶん。月あたり30分の短縮で元が取れる
- 月払いのまま続ける場合:年5,016円の上乗せ。3か月使って手に馴染んだら年払いへの切り替えが得
30分の短縮というのは、資料1本あたりではなく月合計です。週に2本作る人なら、1本あたり4分弱の短縮で足ります。
正直、この水準なら金額はほぼ論点になりません。判断すべきは値段ではなく、出てきたスライドが自分の使いものになるかどうか。 だからこそ、無料枠の3日間をどう使うかが本番です。
資料作成そのものより前後の作業に時間を取られているなら、AI業務自動化のカテゴリで工程ごと見直すほうが効く場合もあります。
その3日間で何をどう試すか、手順に落とします。
使い方は4ステップ|3日間のトライアルで何を試すか
イルシルの操作は、テキスト入力・構成生成・デザイン選択・書き出しの4段階です。慣れれば1本目の資料は10分程度で形になります。

流れはこうです。
- 元になるテキストを渡す:キーワードだけでも、企画書の下書き全文でも構いません。パーソナルなら3,000文字まで入ります
- AIに構成を組ませる:見出しと各ページの骨格が自動で出ます。ここで話の順番を人が直します
- デザインを当てる:テンプレートを切り替えると、配色とレイアウトが一括で変わります
- 書き出す:PDFまたはPPTX。パワーポイントで出せば、あとは社内の慣れた手で直せます
一番のコツは、2の構成段階で妥協しないこと。話の順番が悪いままデザインを当てると、見た目が整っているぶん違和感の正体がわからなくなります。構成を直してからデザイン、この順番は崩さないでください。
3日間のトライアルでは、遊びの資料を作っても意味がありません。試すべきは次に実際に提出する資料そのものです。既存の資料1本を選んで、同じ内容をイルシルで組み直してみます。ここで判断材料が3つ揃います。
- 自分の業界の言葉をAIが理解して構成にできるか
- PPTXで書き出したあと、手直しがどれくらい必要か
- テンプレートの中に、社内で違和感なく出せる顔つきのものがあるか
3つとも合格なら契約、ひとつでも致命的なら見送り。判断は3日で足ります。
なお、1で渡すテキストの下書き自体をAIに任せたいならAIライティングのカテゴリ、営業資料として提出する前提ならAI営業支援のカテゴリが近い領域です。
では、他社のAIスライドと比べたときの位置はどこか。
Gammaなど海外勢との違い|どこで選び分けるか
イルシルと海外製AIスライドの差は、生成AIの賢さではなく「日本語の資料としての仕上がり」と「価格の読みやすさ」に出ます。
海外製で最も名前が挙がるのがGammaです。ページを縦に流していく独特の表現力があり、英語圏のプレゼン文化にはよく馴染みます。一方で、日本語の長い見出しを入れたときの折り返しや、日本の会社で見慣れた「箇条書き+図」のフォーマットへの寄せ方では、イルシルのほうが素直な結果を返します。
判断軸を4つに絞りました。
| 見るところ | イルシルが向く場面 | 海外製が向く場面 |
|---|---|---|
| 言語 | 日本語の社内資料・提案書 | 英語のピッチ資料 |
| 出力先 | PPTXに出して社内で手直しする前提 | Web共有のまま見せる前提 |
| 料金の読みやすさ | 円建て・税込で年額が確定 | ドル建てで為替に振られる |
| デザインの自由度 | テンプレートの範囲で高速に | 表現の幅を優先したい |
つまり、社内向けの日本語資料をパワーポイントに落として使うならイルシル、Webでそのまま見せる英語資料なら海外製、という選び分けになります。両方を1つで賄おうとすると、どちらも中途半端になります。
比較検討そのものを広げたいなら、AIライティングのカテゴリにある文章生成側のツールも合わせて見ておくと、資料作りの上流から下流まで繋がります。英語のピッチ資料を作る場面が多いならAI翻訳のカテゴリも併読を。
ここまでの整理:フリーは0円だが書き出し不可。実務はパーソナル月1,848円(年17,160円=1日47円)。トライアルは3日で自動更新に注意。選ぶ基準は「日本語+PPTX出力」かどうか。
ここからは、逆に向かない使い方を先に潰します。
向かない使い方|買う前に見送るべき3パターン
イルシルが実力を出せない場面もはっきりしています。契約後に気づくと年額が丸ごと無駄になるので、先に確認してください。
1つめ、ブランドガイドラインを厳密に運用する制作案件。 ロゴの余白規定、指定フォント、CMYK指定の色。この水準を1px単位で守り込む仕事では、テンプレートベースのツールは正直イマイチです。AIが整えた美しさと、規定通りの正しさは別物。制作会社の納品物には向きません。この用途はAIデザインのカテゴリにある制作寄りのツールを見たほうが早いです。
2つめ、年に数回しか資料を作らない人。 月30分の短縮で元が取れる計算は、そもそも作る回数があってこそ成り立ちます。年2〜3本なら、フリープランで下書きの構成だけ作ってパワーポイントで仕上げるほうが安く済みます。書き出しができなくても、構成のたたき台としては使えます。
3つめ、数字や図表が主役の資料。 決算説明資料のように、複雑なグラフと注記が中心になるものは、AIの自動レイアウトが噛み合いにくい領域です。表計算ソフトで作った図をそのまま貼る前提なら、イルシルの強みである自動整形がほとんど効きません。こちらはAIデータ分析のカテゴリの領域です。
逆に言えば、この3つに当てはまらなければ、判断は「使ってみて合うか」だけの問題に落ちます。
料金と使い勝手の話が済んだところで、チームで使う場合を見ます。
法人プランはどう考えるか|個人契約の積み上げとの分岐点
法人(ビジネス)プランは要問い合わせの個別見積もりで、公開価格はありません。2025年7月2日から提供されています。
個人契約と何が違うか。公開情報から確認できるのは、自社テンプレートの登録、マイフォルダや制限付きフォルダによる管理機能、カスタマーサポートの3点です。パーソナルにはいずれも付きません。
判断はシンプルです。
- 個人契約を積み上げるべき場合:使う人が数名で、各自が自分の資料を作るだけ。テンプレート共有の必要がない
- 法人プランを検討すべき場合:部署の資料フォーマットを統一したい。誰が作っても同じ顔つきになる状態を作りたい
「テンプレートを揃えたいかどうか」が唯一の分岐点です。 人数が多くても、全員が自由に作ってよいなら個人契約で足ります。逆に3人でもフォーマット統一が目的なら、問い合わせる価値があります。
金額は公開されていないため、この記事で相場を推測することはしません。用途を整理してから問い合わせるのが最短です。チーム全体の資料まわりを見直すならAIプロジェクト管理のカテゴリも視野に入ります。
最後に、申し込み前によく引っかかる点をまとめます。
編集部の評価|「日本語の社内資料」に絞れば破格
公開情報とプレス発表を突き合わせた率直な評価を書きます。
評価できる点は、価格設計の正直さです。 年17,160円で1日47円という水準は、資料を毎週作る人にとっては破格。しかも1か月・6か月・1年の3択が明示され、それぞれの月単価が計算できる形で出ています。海外製ツールにありがちな「年払いにすると突然安くなるが月払いの実額が読みにくい」構造がありません。円建て・税込表示なので、為替で年額がぶれることもない。
気になる点は、無料トライアルが3日間しかないことです。 資料作成は仕事の波があります。忙しい週に申し込むと、ろくに触らないまま自動更新が来る。7日あれば違うのですが、3日は正直短い。申し込みのタイミングを、資料を作る予定がある週に合わせるのが実質的な対策になります。
フリープランの位置づけも、期待して触ると肩透かしです。 書き出しができず、資料は3個まで。これは「無料で使えるツール」ではなく「有料版の品質サンプル」と考えるのが正しい理解です。無料枠を実務で回す設計にはなっていません。
総合すると、日本語の社内資料をパワーポイントに落として使う人にとっては重宝する一択、それ以外の用途では他を見たほうがいい、という評価です。守備範囲が狭いのは欠点ではありません。狭いところで確実に効くツールのほうが、広く浅いツールより仕事では役に立ちます。
よくある質問(FAQ)
Q. 無料プランだけでずっと使えますか?
使えます。ただしPDFやパワーポイントへの書き出しができず、作成できる資料は3個までです。画面上で完結する用途か、構成のたたき台作りに限られます。社内に配る資料を作るなら有料プランが必要です。
Q. 無料トライアルは何日間ですか?
公式リリースによれば3日間です。期間内に解約しないと自動で本契約に切り替わります。申し込んだ日に解約期限をカレンダーへ入れておくのが安全です。パーソナルプラスプランのトライアルは2026年3月5日から提供されています。
Q. 月払いと年払いはどちらが得ですか?
長く使うなら年払いです。1か月契約は月1,848円で12か月なら22,176円、1年契約は17,160円。差は5,016円になります。ただし合うかどうかがまだわからない段階なら、まず月払いで3か月試すほうが損失は小さく収まります。
Q. パワーポイントで開いたあと編集できますか?
有料プランならPPTX形式で書き出せるので、パワーポイント側で開いて編集できます。社内の指定フォントや細かい体裁は、書き出したあとに調整するのが現実的な使い方です。
Q. Gammaとどちらを選ぶべきですか?
日本語の社内資料をパワーポイントに落として使うならイルシル、Web上でそのまま見せる英語のピッチ資料ならGammaが向きます。両方を1つのツールで賄おうとすると、どちらも中途半端になります。用途で分けるのが正解です。
申し込み前の最終チェック
判断を3行にまとめます。
- 資料を週1本以上作るなら、年17,160円(1日47円)は月30分の短縮で回収できる
- フリープランは書き出し不可。実務判断は有料トライアルでしかできない
- トライアルは3日間で自動更新。申し込む日にカレンダーへ解約期限を入れる
最初にやるべきは、次に提出する予定の資料を1本選ぶこと。それをイルシルで組み直して、PPTXで書き出し、手直しにかかった時間を測ります。この1本で答えが出ます。
最新の機能追加やプラン改定はイルシルのツールページで追えます。
資料作りの前段、つまり文章そのものをAIに書かせる工程から見直したいなら、AIライティングのカテゴリを先に眺めてください。構成の元になるテキストの質が上がると、イルシルが返してくるスライドの質も一段変わります。会議の議事録から資料を起こす流れが多いならAI議事録・会議のカテゴリも押さえておくと、資料作りの入口が楽になります。



