
Make vs Yoom比較|自由度のMake・AI内製のYoom、どっちを選ぶか (2026年版)
この記事のポイント フローの自由度で選ぶなら Make、PDF・画像・音声をAIで処理して日本のバックオフィス業務を内製したいなら Yoom。両者は「同じiPaaS」に見えて、得意な戦場がまったく違う。選定を間違えると、構築工数が2〜3倍に膨らむか、必要な機能が一生埋まらないかのどちらかになる。
MakeとYoomは、どちらも「アプリ同士をつないで業務を自動化する」ツールだ。だが、似ているのは入口だけ。Makeは世界中のSaaSを自由配線する欧州発のiPaaS、Yoomは日本企業の紙・PDF・会議という固有の面倒をAIで潰すために生まれた国産プラットフォームだ。
この違いを理解しないまま「とりあえず有名なほう」で入ると、後から効いてくる。請求書のOCRが欲しかったのにMakeで外部AIを継ぎ足す羽目になる。逆に、複雑な条件分岐を組みたいのにYoomの設計思想と噛み合わない。先に結論の地図を渡しておく。
結論:分岐の自由度ならMake、AI処理の内製ならYoom

複雑な多段フローと条件分岐を細かく制御したいなら Make、AI-OCR・議事録・メール要約など「非構造データをAIで構造化する」業務が起点なら Yoom が正解だ。
Makeの武器は「ワークフロー設計の自由度」、Yoomの武器は「日本の定型業務に効くAI機能の標準搭載」。どちらが優れているという話ではなく、自社の業務がどちらの形をしているかで答えが決まる。判断軸を1つだけ持つなら、「自動化したい業務の入口が、SaaSのデータか、それとも紙・PDF・音声か」を見ればいい。
MakeとYoomは何が根本的に違うのか

Makeは「配線盤」、Yoomは「AI付きの業務テンプレ集」と捉えると整理しやすい。前者は素材を渡されて自由に組む道具、後者は日本企業の頻出業務をあらかじめ部品化した道具だ。
Make(旧Integromat)は、ビジュアルキャンバス上にトリガー・アクション・条件分岐を並べ、3,000以上のアプリと400以上のAIアプリをつなぐ。ノードを線で結ぶ感覚で、エラー時の分岐やループ、データ変換まで1枚の図に落とし込める。設計の天井が高いぶん、覚える概念も多い。
Yoomは「フローボット」と「データベース」を中核に据える。AI-OCRや音声文字起こし、メール要約といったAI処理が最初から機能として用意されており、PDFや画像から値を抜いてデータベースに登録し、Slackへ通知するところまでを1本のフローで完結できる。RPAと違い、人間の判断(承認・確認)をフローに差し込めるのも国産ツールらしい設計だ。
要するに、Makeは「つなぎ方の自由」を、Yoomは「日本の面倒な作業をAIで肩代わりするテンプレ」を売っている。
主要スペック比較

下表は両者の特徴を、選定でよく問われる軸で並べたものだ。価格や提供範囲は変動するため、最終判断は必ず公式の最新情報を確認してほしい。
| 比較項目 | Make | Yoom |
|---|---|---|
| 出自 | 欧州発のグローバルiPaaS | 日本(Yoom株式会社) |
| 料金体系 | freemium(無料枠あり/従量・オペレーション課金) | freemium(フリー〜サクセスの段階制) |
| 主機能 | 条件分岐・ループ・データ変換、3,000+アプリ/400+ AIアプリ連携、Webhook/API | AI-OCR、音声文字起こし、議事録作成、メール要約、フローボット、データベース |
| 日本語環境 | 画面は日本語化が進むが日本語ドキュメント・事例は限定的 | UI・サポート・事例がすべて日本語 |
| 学習コスト | 高め(自由度が高く概念が多い) | 中程度(テンプレが多く立ち上がりは速い) |
| 拡張性 | Webhook/APIでほぼ無制限に拡張 | 主要SaaS連携+社内データベース |
| 向くユーザー | 運用担当・マーケター・開発知識のあるチーム | バックオフィス・営業事務・カスタマーサポート |
| 苦手な領域 | OCR等のAI処理は外部連携で継ぎ足しが必要 | Make級の自由な多段分岐設計は守備範囲外 |
総じて、横軸(連携の広さ・設計自由度)はMake、縦軸(日本業務へのAI最適化)はYoomに分があると読める。
料金で比べる:無料で試せる範囲が違う

両者とも無料プランを持つが、無料枠の「意味」が違う。Makeの無料はオペレーション(実行回数)の上限、Yoomの無料は人数とフロー数の上限で区切られる。
Yoom は公開情報上、フリー/パーソナル/ミニ/チーム/サクセスの段階制を採る。フリーは1名・フローボット5本・オペレーション5といった小さな枠で、まず触って感触を確かめる用途に向く。チームやサクセスへ上がると利用人数や作成可能フロー数が大きく広がる構成だ。
Makeはオペレーション課金が基本で、無料枠で動かしつつ、実行回数が増えるほど上位プランへ移行していく形になる。少回数・高機能を安く組みたいニーズに応えやすいのが特徴だ。
どちらも料金体系は改定されるため、月額や上限の確定値は公式ページで確認するのが安全だ。ここでは「Makeは実行回数で、Yoomは人数・フロー数で課金される」という設計思想の違いだけ押さえておけばいい。料金比較の考え方は 比較・選び方ガイド も参照してほしい。
用途別の選び方
自社の業務がどのパターンに当てはまるかで、選ぶべきツールは機械的に決まる。代表的な3シナリオで見ていく。
マーケ・営業の多段オートメーションならMake
複数SaaSをまたいで「リード獲得 → CRM登録 → Slack通知 → 条件分岐 → 追加アクション」まで細かく制御したいなら Make だ。条件分岐とステップ単位のデバッグが効くので、フローが複雑化しても破綻しにくい。
Zapier より低コストで高度な分岐を組みたいケースとも相性がいい。実行結果をステップごとに確認できるため、込み入った自動化ほどMakeの自由度が活きる。
請求書・名刺などのデータ抽出ならYoom
紙・PDF・画像から値を抜く作業が起点なら Yoom 一択に近い。AI-OCRが標準機能としてフローに組み込まれており、抽出 → データベース登録 → 通知までを1本で完結できる。
同じことをMakeでやると、外部のAI/OCRアプリを連携で継ぎ足す必要があり、構築工数が増える。「非構造データの取り込み」が業務の入口なら、最初からそれ用に作られたYoomが速い。
議事録・メール要約ならYoomが速い
音声の文字起こしから議事録生成、受信メールの要約・情報抽出は、Yoomが機能として持っている。テンプレ化されているぶん初期構築が速く、エンジニア不在のチームほど差が出る。
Makeでも外部AIモデルを呼び出せば同等のフローは作れる。ただし「自分でAIを配線する」前提なので、立ち上げの速さでYoomに分がある。
学習コストと日本語環境のリアル
立ち上がりの速さは、機能の多さより「日本語でつまずかずに作れるか」で決まる。ここはYoomが明確に強い。
Yoomはツール本体・ヘルプ・事例・サポートがすべて日本語で、社内に展開する際の説明コストが低い。バックオフィスの非エンジニアでも、テンプレを起点に内製を進めやすい。
Makeは画面の日本語化は進んでいるものの、踏み込んだ設定で参照する情報は英語が中心になりがちだ。自由度の高さは裏を返せば「正解の作り方が一つでない」ということで、学習コストは高めに出る。ただし n8n のような開発寄りのツールに比べれば、ビジュアル設計のぶんMakeのほうがとっつきやすい。
連携できるアプリの広さ
連携先の数だけ見ればMakeが圧倒的だが、「数」より「自社が使うSaaSが入っているか」で評価すべきだ。
Makeは3,000以上のアプリと400以上のAIアプリに対応し、Webhook/APIでさらに拡張できる。マイナーなSaaSやカスタムシステムまでつなぎたいなら、この広さが効く。
Yoomは Salesforce や Notion など主要SaaSとの連携に加え、社内データベースを内側に持てるのが特徴だ。連携数の絶対値ではMakeに及ばないが、日本企業の定番ツールは押さえている。使うSaaSが定番どころに収まるなら、数の差は実害にならない。
編集部の評価
公開情報とリサーチをもとにした、率直な評価を置いておく。一次利用を装うつもりはないが、ツールの設計思想は十分に読み取れる。
Makeは、自由度を求めるチームには破格に強い。3,000超の連携と細かい分岐制御は、自動化を「作り込む」前提のマーケ・運用チームにとって重宝する。一方で、OCRや議事録のようなAI処理を期待して入ると正直イマイチで、結局は外部連携の継ぎ足しになる。
Yoomは、日本のバックオフィス業務に対しては圧倒的に立ち上がりが速い。AI-OCRと議事録・メール要約が標準で乗っているのは、紙とExcelと会議が多い日本企業にとって素直に価値がある。逆に、Make級の自由な多段フローを組もうとすると物足りなさが出る場面はある。
結論はシンプルだ。「設計の自由がほしいMake、AI処理の内製がほしいYoom」。両方を同時に満たす万能ツールではない以上、自社の業務の形に合うほうを選ぶのが唯一の正解になる。他の自動化ツールも見比べたいなら ツール一覧 を起点にするといい。
よくある質問(FAQ)
Q. MakeとYoom、初心者が選ぶならどっち?
非エンジニアで日本語環境を重視するなら Yoom のほうが立ち上がりが速い。テンプレが豊富でサポートも日本語だからだ。自由に作り込みたい・将来的に複雑な連携を増やす前提なら Make を選ぶ価値がある。
Q. 料金はどちらが安い?
使い方次第で逆転する。実行回数が少なく高機能な分岐を組むならMakeが割安になりやすく、複数人でフローを量産するならYoomの段階制が見合うことが多い。確定値は変動するため、両者の公式料金ページで自社の利用量に当てはめて比較してほしい。
Q. MakeでOCRや議事録作成はできない?
できる。ただし標準機能ではなく、外部のAI/OCRアプリを連携して組む形になる。そのぶん構築工数が増えるため、OCRや議事録が主目的なら最初からYoomを選んだほうが速い。
Q. ZapierではなくMakeを選ぶ理由は?
条件分岐・ループ・データ変換といった「作り込み」の自由度で Make が勝る場面が多く、コストも抑えやすい。シンプルな1対1連携が中心なら Zapier でも十分で、複雑化するほどMakeの設計自由度が効いてくる。
Q. 両方併用する選択肢はある?
ある。日本固有のAI処理(OCR・議事録)はYoom、グローバルSaaSをまたぐ複雑連携はMake、と役割分担する構成は現実的だ。ただし運用と料金が二重になるため、まずは主戦場をどちらか一つに寄せてから判断するのを勧める。
