
Figma AI vs Adobe Express|設計向きと販促量産の違い・料金で選ぶ基準 (2026年版)
この記事のポイント Figma AIはアプリやWebの画面設計を速くするツール、Adobe ExpressはSNS投稿やチラシを非デザイナーが量産するツール。同じ「AIでデザイン」でも担当領域が真逆で、競合ではなく棲み分け。設計チームなら前者、広報・店舗・SNS運用なら後者でほぼ決まる。
「Figma AI vs Adobe Express」で比較しようとすると、たいてい途中で違和感に行き着く。片方はUIデザイナーの道具で、もう片方は社内の広報担当者の道具だからだ。
この2つは、価格帯こそ近いものの、解こうとしている課題がまるで違う。だから「どっちが優れているか」を問うと答えに困る。問うべきは「自分が作るのは画面か、それとも販促物か」のほうだ。
その一点が決まれば、選択はほぼ自動的に決まる。以下では料金・機能・日本語対応・アウトプットの順で、両者の境界線を具体的に引いていく。
結論: 設計を伸ばすならFigma AI、販促を回すならAdobe Express

UI/UXやプロダクト画面の初期案を速くしたいならFigma AI、SNS・チラシ・短尺動画を社内で量産したいならAdobe Express。この一行で9割の人は選び終わる。
Figma AIは「すでにFigmaで設計している組織」の生産性を底上げする位置づけだ。新しいワークフローを覚えるというより、既存の設計作業にAIの手数を足すイメージに近い。
Adobe Expressは逆に「社内にデザイナーがいない人」が、見られる品質の販促物を自力で出すためのツールだ。テンプレートに文字と画像を流し込めば形になるので、デザインの素養を前提にしない。
海外の比較記事でも、2026年時点の評価軸は「長期的なデザインシステムと拡張性ならFigma、AIによる高速な販促制作ならAdobe Express」で一致している。スタートアップのマーケ用途では後者の速さが、プロダクト開発では前者の一貫性が効く、という整理だ。
料金で見る分かれ目: 無料で始めるか、月$15を払うか

Adobe Expressは無料プランから着手でき、Figma AIの本格的なAI機能はProfessionalプラン(月$15〜)が前提になる。最初の入り口の軽さがまるで違う。
Figmaそのものは無料でも使えるが、First Draftなどの生成系AI機能はおおむね有料プランの範囲だ。設計チームとしてFigmaに月額を払う合理性があるかどうかが、導入の損益分岐点になる。
Adobe Expressは無料枠で多くのテンプレートと基本編集を試せる。Fireflyによる画像生成や高度なAI編集には回数・機能の制限があり、本格運用ではプレミアム(Adobe Creative Cloud契約に含まれる場合もある)が現実的だ。
判断基準を一言にすると、こうなる。
- 個人や小規模で「まず無料で販促物を作りたい」→ Adobe Express
- 組織で「設計フローにAIを組み込み、月$15の価値が出る」→ Figma AI
- 既にCreative Cloud契約あり → Adobe Expressは追加コストほぼゼロで使える
価格そのものより、「誰が・何のために・どの予算で使うか」で答えが変わる構造だと押さえておきたい。
主要機能の比較表

下の表は、料金・主機能・日本語対応・想定アウトプットなど、選定で効く軸だけに絞って並べたものだ。
| 項目 | Figma AI | Adobe Express |
|---|---|---|
| 料金体系 | freemium(AI機能はProfessional $15/月〜) | freemium(無料枠あり、AIは回数・機能制限) |
| 主機能 | First Draftで画面案・ワイヤーフレーム生成、レイヤー自動整理、仮テキスト置換、文章書き換え・翻訳、画像生成・背景削除・解像度向上 | テンプレートベースのSNS投稿・チラシ・動画・ロゴ作成、Fireflyの画像生成、テキスト効果、背景削除、不要物の削除、動画字幕生成 |
| 2026年の新機能 | 設計補助系AIの拡充、生成からFigma編集への接続強化 | AI Assistant(ベータ)で自然文プロンプト編集 |
| 日本語対応 | UIは多言語、書き換え・翻訳AIを内蔵 | UIは英語中心 |
| 学習コスト | Figmaの操作に慣れている前提 | テンプレ選択ベースで初心者でも着手しやすい |
| 統合 | Figma Design・デザインシステムと一体 | Adobe Stock、Adobe Fonts、Firefly |
| 想定アウトプット | アプリ/WebのUI画面、プロトタイプ | SNS画像、チラシ、動画、ロゴ、販促ビジュアル |
| 向くユーザー | UI/UXデザイナー、プロダクトチーム | 中小企業、店舗、広報・SNS担当 |
| 強み | 設計システム連携と画面設計の反復短縮 | ブランド統一管理と非デザイナーの仕上がり |
表を一言でまとめると、Figma AIは「設計の中で完結するAI」、Adobe Expressは「販促の量産を回すAI」。重なる機能(画像生成・背景削除)はあっても、置かれている文脈が違う。
Figma AIで何ができるか

Figma AIの核は、説明文から画面の叩き台を生成し、そのままFigma上で詰められる点にある。設計ファイルの外に出ないことが最大の価値だ。
First Draftに「ログイン後のダッシュボード画面」のような指示を入れると、ワイヤーフレームや初期レイアウトが生成される。生成物はあくまで叩き台で、最終UIは人の手で仕上げる前提になっている。
加えて、レイヤー名の自動整理や仮テキストの一括置換、文章の書き換え・翻訳・短縮、画像生成・背景削除・解像度向上といった細かい手数がFigmaの中で完結する。別ツールへの出し戻しが減るぶん、レビューと修正の往復が圧縮される。
向いているのはこんな場面だ。
- アプリ/Webの新機能UIを素早く形にしたい
- デザインシステムと連携した一貫性のある画面が必要
- 既存UIの文章リライトや多言語化をその場で済ませたい
- すでにFigmaが組織標準で、ワークフローを変えたくない
逆に、SNS投稿や紙のチラシを量産したい人にはオーバースペックだ。Figma AIはあくまで「設計者の道具」である。
Adobe Expressで何ができるか
Adobe Expressの核は、テンプレートに文字・画像・配色を流し込めば、デザイン経験がなくても整った販促物が出ることだ。スピードと再現性が売りになる。
SNS投稿、チラシ、ロゴ、短尺動画まで、用途別の豊富なテンプレートから選んで差し替えるだけで形になる。ブランドカラー・ロゴ・フォントを登録しておけば、担当者が複数いても見た目がぶれにくい。
AI面では、Fireflyによる画像生成、テキスト効果、背景削除や不要物の削除、動画字幕の自動生成までブラウザで完結する。2026年にはAI Assistant(ベータ)が追加され、自然文の指示で編集を進められるようになった。Canvaの対抗というより、Adobeの素材資産とAIを束ねた制作ハブという立ち位置に近い。
向いているのはこんな場面だ。
- 社内にデザイナーがいない中小企業・店舗
- SNS・チラシ・動画など販促物を毎週量産したい
- ブランド要素を統一し、担当が変わっても品質を保ちたい
- まず無料で試し、必要に応じて有料化したい
UI設計やプロトタイピングには使えない。Adobe Expressは「販促担当者の道具」だと割り切るのが正しい。
用途別の選び方
迷ったら「最終的に何を世に出すのか」を起点に選ぶ。画面ならFigma AI、販促物ならAdobe Expressで、ほぼ外さない。
1. アプリ/サービスの新機能UIを速く形にしたい。 First Draftで叩き台を生成し、そのままFigmaで編集・プロトタイプ化できるFigma AIが適している。叩き台から本番への移行コストが小さいのが効く。
2. SNS投稿やキャンペーンのチラシを毎週量産したい。 テンプレートで形になり、ブランド統一管理ができるAdobe Expressが向く。デザイナーを介さない販促運用に強い。
3. 既存UIの文章リライトや多言語化、画像差し替えを効率化したい。 Figmaの中で書き換え・翻訳・画像加工まで完結するFigma AIが合う。ファイルを外に出さずに済む。
4. 個人や店舗で、まず無料でビジュアルを作りたい。 無料枠から始められるAdobe Expressが入り口として軽い。慣れたら有料機能を足せばよい。
Canvaという第三の選択肢との関係
販促物の量産という土俵では、Adobe Expressの最大の比較対象は実はFigmaではなくCanvaだ。ここを混同すると選定を誤る。
2026年の海外レビューは、SNSデザインの比較を「Canva vs Figma vs Adobe Express」の三つ巴で語ることが多い。Canvaは手軽さと素材量、Adobe ExpressはAdobe素材とFirefly連携、Figmaは設計力という住み分けだ。
つまり「販促物を作りたい」段階で本当に比べるべきはCanvaとAdobe Expressであり、Figma AIはその前段の「画面を設計する」レイヤーにいる。レイヤーが違うものを同じ天秤に載せないことが、後悔しない選び方につながる。
日本語対応と学習コストの実際
日本語環境での快適さは、Figma AIがやや有利だ。UIが多言語に対応し、文章の書き換え・翻訳AIを内蔵している点が地味に効く。
Adobe ExpressはUIが英語中心で、操作に英語への抵抗がないことが前提になりやすい。テンプレート選択ベースなので操作自体は直感的だが、メニュー文言で詰まる人はいる。
学習コストの方向性も違う。Figma AIは「Figmaを使えること」が出発点で、設計ツールの操作に慣れていないと恩恵を受けにくい。Adobe Expressはデザイン未経験でも着手できるが、テンプレートの応用やブランド設定に慣れるまで少し時間がかかる。
要するに、設計者にはFigma AI、非デザイナーにはAdobe Expressのほうが立ち上がりが速い。母集団のスキルセットで選ぶのが現実的だ。
よくある質問(FAQ)
Q. Figma AIとAdobe Expressは併用できますか?
できる。むしろ役割が違うので併用が自然だ。プロダクトのUIはFigma AIで設計し、その告知用SNS画像やLPバナーをAdobe Expressで作る、といった分業が成立する。
Q. 無料で使い続けられるのはどちらですか?
無料運用の現実味が高いのはAdobe Expressだ。無料枠でテンプレートと基本編集を継続利用できる。Figmaも無料プランはあるが、生成系AIは有料プラン前提なので「無料でAIまで」は難しい。
Q. 日本語のSNS投稿を量産するならどっち?
Adobe Expressが向く。テンプレートに日本語テキストを流し込み、ブランドカラーを統一して大量に書き出せる。ただしUIは英語中心なので、メニューの英語に慣れる必要がある。
Q. デザイナーがいないチームでもFigma AIは使えますか?
使えなくはないが、おすすめはしない。Figma自体の操作前提が重く、画面設計のスキルがないと叩き台を仕上げきれない。非デザイナー主体ならAdobe Expressのほうが確実に成果が出る。
Q. AdobeのCreative Cloud契約があるなら?
Adobe Expressを優先する理由になる。素材やFireflyとの連携が活き、追加コストもほぼかからない。設計用途が別途あるなら、そこだけFigma AIを足す形が無駄がない。
編集部の評価
率直に言って、この2つを「比較」する構図自体が少しミスリードだ。担当領域が真逆なので、勝ち負けではなく住み分けで考えるのが正解になる。
Figma AIは、すでにFigmaを使う設計チームにとっては重宝する。手数を減らす方向のAIで、派手さはないが日々の反復が効率化される。一方で、Figmaを使っていない人がこのためだけに月$15を払うのは正直イマイチで、費用対効果が見合いにくい。
Adobe Expressは、非デザイナーの販促量産という一点では破格に強い。無料から始められる入り口の軽さも含め、店舗・広報・SNS運用ならほぼ一択に近い。弱点はUIの英語と、Canvaという強力な対抗馬がいることくらいだ。
結論はシンプルだ。画面を作るならFigma AI、販促物を回すならAdobe Express。自分のアウトプットがどちらかを決めれば、迷う余地はほとんど残らない。デザインツール全体の地図が知りたいなら、Canvaとの三つ巴も含めて見比べておくと選定の精度が上がる。
