絵が1コマも描けません。それでも頭のなかには話があります。そういう人がAI漫画を検索したとき、いちばん知りたいのは「どこまでタダで行けるのか」だと思います。
答えは、途中まで。
下書きなら誰でも無料で作れます。でも透かしのない形で書き出して公開できるのは、主要8本のうち2本だけ。残りの6本は、透かし・ページ上限・商用不可・クレジット切れのどれかで止まります。
1年前まで最大の壁は「コマごとにキャラが別人になる」でした。ここは各社の参照画像機能でほぼ埋まっています。壁は絵から、お金と規約へ移りました。
AI漫画ツールは、どこまで代わりにやってくれるのか?
AI漫画ツールとは、AIへの指示文(プロンプト)をもとに、コマ割り・作画・吹き出し配置までを自動化する仕組みです。全工程を引き受ける製品は一部で、多くは作画だけを担当します。
漫画づくりは、ざっくり3工程に分かれます。
- ネーム:話の流れとコマ割りの下書き
- 作画:キャラと背景を絵にする
- 組版:コマを並べ、吹き出しとセリフを置く
この3つをまとめて面倒を見るのが「漫画完結型」。作画だけを引き受けるのが「画像生成型」です。同じ「AI漫画」の看板でも、担当する範囲がまるで違います。
ここを知らずに画像生成型から入ると、「絵は出たのに吹き出しが入れられない」で詰みます。入り口でいちばん多い事故がこれ。
もうひとつ、先に言っておきます。AIは「描けない」を解決しますが、「話が思いつかない」は解決しません。プロットは人が握る部分です。
その前提が入ったところで、実際の値段を見ていきます。
主要8サービスの料金は月いくらか?
各公式サイトが2026年8月時点で掲示している金額を、1ドル150円換算でそろえました。円建てのサービスは表示のまま載せています。
| サービス | 種別 | 無料枠 | 有料の入口(月額) |
|---|---|---|---|
| Anifusion | 漫画完結型 | 100クレジット・透かしなし | $9(約¥1,350)/上位$24(約¥3,600) |
| Dashtoon | 漫画完結型(縦読み) | あり | 約¥3,100 |
| AI Comic Factory | 漫画完結型 | 実質無制限 | 有料プランなし |
| ChatGPT | 画像生成型 | 回数制限つき | Plus約¥3,000 |
| Midjourney | 画像生成型 | なし | 約¥1,500〜 |
| PixAI | 画像生成型 | 日次クレジット | 約¥1,500〜 |
| Stable Diffusion系 | 画像生成型 | 自分のPCで動かせば¥0 | GPU代のみ |
| AI漫画つくるくん | 法人販促向け | 登録無料 | ¥10,000〜(商用利用込み) |
つまり主力の価格帯は、月¥1,350〜¥3,600のあいだにきれいに固まっています。そこを外れるのは法人向けと自前GPUの両極だけ。
Anifusionは公式サイトで、$9プランが月2,000クレジット、$24プランが月10,000クレジットと明記しています。どちらも商用利用に対応し、未使用クレジットは失効しません。この「繰り越せる」条件は地味に効きます。週末だけ描く人でも無駄になりません。
ChatGPTには月16,800円のProもありますが、漫画目的では過剰です。Plusで足ります。
法人枠の「AI漫画つくるくん」は2026年3月4日に提供が始まったサービスで、登録料は無料、利用料が¥10,000〜。商用利用と権利保護の機能を込みにした値付けです。個人の創作用というより、販促用の説明漫画を発注する側の選択肢と考えるのが正確です。
金額だけ見ると安く見えます。問題は、無料枠がどこで途切れるか。

無料のまま公開まで行けるのは、どの2本か?
無料で始めた人が完成の一歩手前で止められる理由は、5つに集約されます。逆に言えば、この5つを避けられれば無料で終われます。
| 壁 | 何が起きるか | 回避の仕方 |
|---|---|---|
| 透かしの焼き込み | 画像の中央にロゴが残り公開に耐えない | 透かしなしの無料枠を選ぶ |
| ページ上限 | 3〜5ページで書き出しができなくなる | 読み切りを4ページ以内で設計 |
| 商用不可 | SNS投稿は可、販売は不可 | 売る予定なら最初から有料へ |
| クレジット切れ | 描き直し3回で残高が尽きる | 1コマ2案までと決める |
| 日本語の崩れ | 吹き出しの文字が絵として壊れる | セリフは画像編集で後入れ |
つまり無料で完走するなら、透かしなし・4ページ以内・セリフ後入れの3点セットで設計するのが最短です。
この条件を満たすのがAnifusionの無料枠と、AI Comic Factory。前者は100クレジットの範囲なら透かしが乗らず、後者はそもそも課金の導線がありません。8本中2本、の中身はこれです。
残りの6本が悪いわけではありません。無料で「試す」ためのもので、無料で「出す」ためのものではない、というだけの話。
ここで多くの人が誤解します。無料枠が尽きたのを「自分の腕のせい」と受け取ってやめてしまいます。違います。設計の問題です。
目的別に選ぶなら、どれが一択か?
万能の1本はありません。長編・縦読み・4コマ・1枚絵で勝ち筋が割れるので、作りたい形を先に決めるほうが早いです。
- 長編を本気で作る → Anifusion上位(約¥3,600)。キャラ参照が揃い、Amazon KDPでの自費出版まで一本道
- 縦読み(ウェブトゥーン) → Dashtoon(約¥3,100)。縦スクロール前提の構成で、恋愛・学園ものと相性が圧倒的に良い
- 4コマ・SNS漫画 → ChatGPT Plus(約¥3,000)。1回の指示で下書きまで届く速さが強い
- 画風の説得力 → Midjourney(約¥1,500〜)。アニメ寄りの絵は今も頭ひとつ抜けています
迷ったら、無料で手応えをつかんでから有料に上げます。この順番を守るだけで、月¥3,000の後悔がほぼ消えます。
画像生成そのものが初めてなら、画像生成AIのおすすめと選び方を先に読むと、この後の作画パートの話が一気に早くなります。

作り方は5ステップ。どこに時間を使うのか?
工程は5つ。時間配分がいびつなので、そこを先に言います。全体の6割はステップ1と2、つまり絵を1枚も出していない段階で決まります。
ステップ1:話を4ページに畳む
読み切りなら4ページ。起承転結を1ページずつに割り当てます。ここでページ数を欲張ると、無料枠でも有料枠でも必ず息切れします。
ステップ2:キャラの設定文を固定する
「黒髪ショート、赤いパーカー、16歳、つり目」のように、外見を短い単語の並びで確定させます。この文章を全コマで使い回すのが、キャラを別人にしない唯一の方法です。参照画像機能があるサービスなら、正面顔を1枚作って登録しておきます。
ステップ3:コマごとに絵を出す
1コマにつき2案まで。ここで粘ると、クレジットが溶けます。60点で次に進むほうが完成に近づきます。
ステップ4:セリフを後入れする
日本語の文字はAIが崩します。吹き出しは画像編集ソフトで後から乗せるのが確実。無料ならCanvaやGIMPで足ります。
ステップ5:書き出して公開する
透かしの有無と商用可否を、公開前に必ず確認。ここを飛ばした結果の作り直しがいちばん痛いです。
ここまでの整理:無料で完走できるのはAnifusion無料枠とAI Comic Factoryの2本。有料の本命はAnifusion上位の月$24(約¥3,600)。作り方は5ステップで、時間の6割は作画前の設計に使う。止まる原因は絵ではなく、透かし・ページ上限・商用条件です。
キャラが別人になる問題は、もう解決したのか?
ほぼ解決しました。2026年時点の主要サービスは、参照画像を全ページで使い回す機能を標準で持っています。
Anifusionは公式に「キャラクターの一貫性」を機能として掲げ、参照画像をページ全体に適用する方式を採っています。海外のツール比較でも、参照画像を全ページに使い回す設計は各社の標準機能として扱われています。
残っている崩れは3つ。
- 横顔と後ろ姿:正面顔だけ登録すると、角度が変わったとたんに別人化する
- 服の細部:ボタンの数、ポケットの位置は毎回変わると思ってよい
- 手:改善はしたものの、指の本数はいまだに事故ります
対策はシンプルで、アップの表情カットを増やし、手の写るコマを減らす。プロの漫画家も表情で語るので、結果として読みやすくなります。制約が構成を良くする側に働く、珍しい例です。
絵がそろったら、次は権利の話。ここを飛ばすと公開後に効いてきます。
商用利用と著作権は、どこまでOKなのか?
サービスの利用規約と、日本の著作権法は別の話です。ここを混ぜると事故ります。
規約の面では、Anifusionが$9プランから商用利用に対応と明記しています。「AI漫画つくるくん」も¥10,000〜の利用料に商用利用と権利保護の機能を含むとしています。一方で、無料枠のみでの商用利用を認めていないサービスは珍しくありません。売る予定があるなら、無料で始めないのが安全です。
法律の面では、AI生成物の著作権は「人がどれだけ創作的に関与したか」で判断されるのが現在の考え方です。プロンプト1行で出した1枚と、構成・コマ割り・セリフを人が設計した漫画では、扱いが変わってきます。漫画は後者に寄りやすい形式です。
もうひとつ、実務で効く注意点があります。特定の作家の絵柄を狙って「〇〇風」と指示するのは、規約でも法的にもリスクが残る領域です。商用で使うなら避けるほうが賢明です。
判断に迷ったら、AIと著作権の考え方を整理した生成AIの著作権ガイドに目を通しておくと、確認すべき点がはっきりします。
編集部の評価
公開情報とリサーチの範囲で、率直に順位づけせず評価します。
Anifusionは、この分野の一択に近い。$9で月2,000クレジット、$24で月10,000クレジット、どちらも商用可でクレジットは失効しない。無料枠で透かしが乗らない点も含めて、条件の組み方が破格です。長編を出す前提なら上位の$24が本命。
Dashtoonは縦読み専用機として重宝します。約¥3,100という価格より、縦スクロールを前提に組めることの価値が大きい。逆に、紙やKDP前提の見開き漫画を作りたい人には向きません。
AI Comic Factoryは、無料の到達点として優秀。ただし細かい調整の効き方は正直イマイチで、狙った絵に寄せる作業には向きません。「まず1本作り切る体験」のための場所です。
ChatGPT Plusは速さが圧倒的。4コマやSNS投稿なら、他を試す前にここで十分。ただし専用ツールのようなページ管理はないので、長編には辛い。
AI漫画つくるくんは、個人が比べる相手ではない。¥10,000〜という金額は、外注の販促漫画としては安い部類です。個人の創作予算で見ると高い。用途が違うだけで、比較表に並べると誤解を招く1本です。
微妙なのは、画像生成型だけで漫画を完成させようとする構成。絵は出ますが、組版の手間が想像の3倍かかります。
よくある質問(FAQ)
Q. AI漫画は本当に無料で作れますか?
下書きまでは全サービスで無料です。透かしなしで公開まで届くのは、Anifusionの無料枠(100クレジット)とAI Comic Factoryの2本。それ以外は透かし・ページ上限・商用不可のどれかで止まります。
Q. 絵が描けなくても大丈夫ですか?
作画は問題ありません。ただし、話の流れとコマ割り(ネーム)は人が決める部分です。ここまでAIに任せると、読める形になりにくいです。
Q. 吹き出しの日本語が崩れます
AIは日本語の文字を絵として描くので崩れます。セリフは後入れが基本。Canvaや無料の画像編集ソフトで、書き出した画像に吹き出しを乗せてください。
Q. 作った漫画を販売してもいいですか?
サービスの規約次第です。Anifusionは$9プランから商用利用に対応と明記しています。無料枠のみでの販売を認めないサービスもあるので、売る前提なら最初から有料に入るのが安全です。
Q. 月いくらから本格的に始められますか?
月$9(約¥1,350)から。ただし描き直しの回数を考えると、長編は月$24(約¥3,600)が現実的な本命です。縦読みならDashtoonの約¥3,100。
次に読むならこれ
作画の質を上げたいなら、画像生成AIの料金と使い分けへ。この記事で触れた月¥1,500〜¥3,600の価格帯が、漫画以外の用途でどう変わるかまで含めて把握できます。ツールを1本に絞る判断が、かなり早くなります。
各ツールの公式サイト(一次情報)
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